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喫茶嘆きの壁を書いていた頃に、並行して考えていたお話です。
浴衣、キュロット、ウエディングドレス、サンタクロース・・・コスプレシリーズはこれにて完結・・・かな??
設定としましては、黄金さん復活設定。
氷河たちは学生兼聖闘士で、冬休みの合宿と称して、師匠以外の指導を受けることになっています。
(本当は担当決めのお話も書いていたのですが、つまらないので切りました。
わかりにくくてすみません。)
浴衣、キュロット、ウエディングドレス、サンタクロース・・・コスプレシリーズはこれにて完結・・・かな??
設定としましては、黄金さん復活設定。
氷河たちは学生兼聖闘士で、冬休みの合宿と称して、師匠以外の指導を受けることになっています。
(本当は担当決めのお話も書いていたのですが、つまらないので切りました。
わかりにくくてすみません。)
スパイ修行 1
冬の強化合宿のためアフロディーテがいるコテージを訪れた氷河は、何故デスマスクもいるんだろう、と思った。
二人が親しいのはなんとなく知っているが、指導スケジュールに彼の名前はない。
なのに、氷河の正面の椅子にどっかりと腰を下ろして、アフロディーテよりも大きな顔をしている。
「なんで俺がいるんだって顔してるな。」
「そんな・・・」
図星をさされた氷河は慌てて否定する。
それでもデスマスクは気分を害した風もなく、フンと鼻で笑った。
「君にはカミュという師匠がいるからな、戦いについては彼の教えがあれば十分だ。今回我々が君に教えたいのは、敵情視察の方法だ。」
アフロディーテの真剣な表情に、氷河も顔を引き締めて頷いた。
「君は先の北欧での戦いにおいて、先に現地に赴いて調査をしたんだったな?」
「はい。」
「どんなふうに行ったんだ。」
「ええ、まずは捕まったふりをして・・・。」
「馬鹿かっ!!」という言葉が、二人の口から同時に飛んできた。
「敵の戦力もわからないのに、いきなり捕まったのか?」
「・・・はい。中に入るにはそれが一番かと。」
「殺されなかったのが不思議だな。」
「その時は、フレアが・・・ああ、ヒルダの妹なんですが、彼女が助けてくれて事情も話してくれました。」
ちょっと誇らしげに笑う氷河の顔はかわいい。この顔でなかったら、フレアも放置したに違いない。
そんな二人は、別の一件ではヤコフに助けられ、別の一件ではドルバルに洗脳されたことを知らない。
「これは本当に、ちゃんと教えてあげなければならないな。」
アフロディーテはため息をつくと、寄りかかっていた壁から背を起こして正面に向き直った。
調査にはいくつか方法がある。
味方のふりをして近づき情報を聞き出すという方法もあるが、これは演技力が必要とされるからな、君には難しいだろう。
だからまず、極力相手に見つからずに忍び込む方法を考えよう。
それだけでも大変なことだ。
敵陣の状況をなるべく詳細に調べ、退路の確保も怠ってはならない。
戦うのは本当に、最後の手段だ。
概論の後、デスマスクからは錠前の外し方や盗聴の仕方、アフロディーテからは変装の仕方と、およそ聖闘士らしくない技を学んだのだった。
「さてと」
慣れぬ講義に疲れた様子の氷河を面白そうに眺めながら、デスマスクは言った。
「では実戦だ。明日の朝までに、シュラ先輩の部屋から、愛用のライターを持ってこい。」
何だかヤンキーのようなことを言いつけられつつも、氷河は従わざるを得なかった。聖域の縦の掟は絶対なのである。
「シュラは、今アテネ郊外のグラード財団の保養施設に泊まっている。そこの誰にも見つからないようにするんだぞ。」
「し、しかし、それでは泥棒ではないか。」
「大丈夫だ。あとでモノは返すんだし、俺たちからもちゃんと話してやるよ。」
そう言ってデスマスクは出ていった。
「少し、手伝ってあげようか?さっき変装という話をしただろう? ここにその、使用人の服がある。この服を着て忍び込めば目立ちにくい。」
身内の施設なのだから、いつもの氷河である方が自然である。
しかしアフロディーテの碧い瞳に見つめられると、若干思考能力が狂うのだ。
「さっき言ったように、調査のためにはあらかじめ念入りに準備をしておくことが必要なんだ。まずはシュラのスケジュールだな。」
「ああそれならば、指導スケジュールが。」
そう言って氷河が取り出した紙には、冬休み中の各自の予定が書かれている。
紫龍は、最初の3日間はシュラの指導、続く3日間はアイオリアの指導を受けることになっていて、今日明日は早朝から夕暮れまで、みっちりシュラの訓練を受けている筈だった。
「今は4時だから、まだ訓練中だな。その間に部屋に入らせてもらって、取ってくればいいのか。」
呟く氷河を横目に見ながら、アフロディーテはくすりと笑った。
「何だか厭な予感がする」
休憩中。煙草に火をつけながら、シュラは呟いた。
「厭な・・・とは?」
とっさに身構え真剣なまなざしを送ってくる紫龍をみて、シュラはわずかに首を振った。
「大したことではないのだ。今朝、こちらへ来るときに、妙に楽しそうなデスマスクとすれ違ってな。またロクでもないことを企んでいなければいいのだが。」
「デスマスクは今回の指導スケジュールに名前がなかったが。その間、何か任務があるのか?」
「それがどうやら、アフロディーテのサポートにつくらしい。」
「ということは、氷河の?? 氷河が、デスマスクとうまく折り合いをつけられるとは思えないのだが・・・。」
「そこはまぁ、アフロディーテがどうにかするだろう。しかし、一体何の訓練をしてるのやら。」
そのアフロディーテは、手渡した服を前に途方に暮れる氷河を楽しげに眺めていた。
「こ、これ、女性用ですけど。」
「ああ、あいにく君くらいのサイズだと、女性用しか手に入らなかった。」
そんなはず、あるだろうか。
自分くらいの背丈の男性職員が、いたっておかしくないはずだ。
氷河は恨めしそうに、アフロディーテを見上げた。
「ま、着てみたまえ。」
一輝とケーキ屋に行ったあたりから、どうもおかしい。
段々自分自身も抵抗感が薄れてきているようなのが怖い。
黒の長袖の服に、ピッチリとアイロンのかかった真っ白な襟。
黒のスカートに、白いフリルの前掛け。
スカートは、ウエストは合うのに丈がやや短い。
「これでいいんですか?」と別室から現れた氷河の姿を見て、アフロディーテは笑みを浮かべた。
きっちりとした上着に対し、やや短過ぎるタイトスカート。
そのギャップが、いい感じだ。
「それだけでは、完成といえないな。」
「はい・・・」と氷河はため息交じりに返事をして、鏡の前に腰を下ろした。
紅筆をとって、唇に紅を塗る。
美少年が、みずから紅をさす光景は魅惑的だ。
しばし堪能した後、アフロディーテは口を開いた。
「全然、なってない。」
数十分後、アフロディーテの手によって、完璧なメイドさんが誕生した。
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スパイ修行 1
冬の強化合宿のためアフロディーテがいるコテージを訪れた氷河は、何故デスマスクもいるんだろう、と思った。
二人が親しいのはなんとなく知っているが、指導スケジュールに彼の名前はない。
なのに、氷河の正面の椅子にどっかりと腰を下ろして、アフロディーテよりも大きな顔をしている。
「なんで俺がいるんだって顔してるな。」
「そんな・・・」
図星をさされた氷河は慌てて否定する。
それでもデスマスクは気分を害した風もなく、フンと鼻で笑った。
「君にはカミュという師匠がいるからな、戦いについては彼の教えがあれば十分だ。今回我々が君に教えたいのは、敵情視察の方法だ。」
アフロディーテの真剣な表情に、氷河も顔を引き締めて頷いた。
「君は先の北欧での戦いにおいて、先に現地に赴いて調査をしたんだったな?」
「はい。」
「どんなふうに行ったんだ。」
「ええ、まずは捕まったふりをして・・・。」
「馬鹿かっ!!」という言葉が、二人の口から同時に飛んできた。
「敵の戦力もわからないのに、いきなり捕まったのか?」
「・・・はい。中に入るにはそれが一番かと。」
「殺されなかったのが不思議だな。」
「その時は、フレアが・・・ああ、ヒルダの妹なんですが、彼女が助けてくれて事情も話してくれました。」
ちょっと誇らしげに笑う氷河の顔はかわいい。この顔でなかったら、フレアも放置したに違いない。
そんな二人は、別の一件ではヤコフに助けられ、別の一件ではドルバルに洗脳されたことを知らない。
「これは本当に、ちゃんと教えてあげなければならないな。」
アフロディーテはため息をつくと、寄りかかっていた壁から背を起こして正面に向き直った。
調査にはいくつか方法がある。
味方のふりをして近づき情報を聞き出すという方法もあるが、これは演技力が必要とされるからな、君には難しいだろう。
だからまず、極力相手に見つからずに忍び込む方法を考えよう。
それだけでも大変なことだ。
敵陣の状況をなるべく詳細に調べ、退路の確保も怠ってはならない。
戦うのは本当に、最後の手段だ。
概論の後、デスマスクからは錠前の外し方や盗聴の仕方、アフロディーテからは変装の仕方と、およそ聖闘士らしくない技を学んだのだった。
「さてと」
慣れぬ講義に疲れた様子の氷河を面白そうに眺めながら、デスマスクは言った。
「では実戦だ。明日の朝までに、シュラ先輩の部屋から、愛用のライターを持ってこい。」
何だかヤンキーのようなことを言いつけられつつも、氷河は従わざるを得なかった。聖域の縦の掟は絶対なのである。
「シュラは、今アテネ郊外のグラード財団の保養施設に泊まっている。そこの誰にも見つからないようにするんだぞ。」
「し、しかし、それでは泥棒ではないか。」
「大丈夫だ。あとでモノは返すんだし、俺たちからもちゃんと話してやるよ。」
そう言ってデスマスクは出ていった。
「少し、手伝ってあげようか?さっき変装という話をしただろう? ここにその、使用人の服がある。この服を着て忍び込めば目立ちにくい。」
身内の施設なのだから、いつもの氷河である方が自然である。
しかしアフロディーテの碧い瞳に見つめられると、若干思考能力が狂うのだ。
「さっき言ったように、調査のためにはあらかじめ念入りに準備をしておくことが必要なんだ。まずはシュラのスケジュールだな。」
「ああそれならば、指導スケジュールが。」
そう言って氷河が取り出した紙には、冬休み中の各自の予定が書かれている。
紫龍は、最初の3日間はシュラの指導、続く3日間はアイオリアの指導を受けることになっていて、今日明日は早朝から夕暮れまで、みっちりシュラの訓練を受けている筈だった。
「今は4時だから、まだ訓練中だな。その間に部屋に入らせてもらって、取ってくればいいのか。」
呟く氷河を横目に見ながら、アフロディーテはくすりと笑った。
「何だか厭な予感がする」
休憩中。煙草に火をつけながら、シュラは呟いた。
「厭な・・・とは?」
とっさに身構え真剣なまなざしを送ってくる紫龍をみて、シュラはわずかに首を振った。
「大したことではないのだ。今朝、こちらへ来るときに、妙に楽しそうなデスマスクとすれ違ってな。またロクでもないことを企んでいなければいいのだが。」
「デスマスクは今回の指導スケジュールに名前がなかったが。その間、何か任務があるのか?」
「それがどうやら、アフロディーテのサポートにつくらしい。」
「ということは、氷河の?? 氷河が、デスマスクとうまく折り合いをつけられるとは思えないのだが・・・。」
「そこはまぁ、アフロディーテがどうにかするだろう。しかし、一体何の訓練をしてるのやら。」
そのアフロディーテは、手渡した服を前に途方に暮れる氷河を楽しげに眺めていた。
「こ、これ、女性用ですけど。」
「ああ、あいにく君くらいのサイズだと、女性用しか手に入らなかった。」
そんなはず、あるだろうか。
自分くらいの背丈の男性職員が、いたっておかしくないはずだ。
氷河は恨めしそうに、アフロディーテを見上げた。
「ま、着てみたまえ。」
一輝とケーキ屋に行ったあたりから、どうもおかしい。
段々自分自身も抵抗感が薄れてきているようなのが怖い。
黒の長袖の服に、ピッチリとアイロンのかかった真っ白な襟。
黒のスカートに、白いフリルの前掛け。
スカートは、ウエストは合うのに丈がやや短い。
「これでいいんですか?」と別室から現れた氷河の姿を見て、アフロディーテは笑みを浮かべた。
きっちりとした上着に対し、やや短過ぎるタイトスカート。
そのギャップが、いい感じだ。
「それだけでは、完成といえないな。」
「はい・・・」と氷河はため息交じりに返事をして、鏡の前に腰を下ろした。
紅筆をとって、唇に紅を塗る。
美少年が、みずから紅をさす光景は魅惑的だ。
しばし堪能した後、アフロディーテは口を開いた。
「全然、なってない。」
数十分後、アフロディーテの手によって、完璧なメイドさんが誕生した。
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