×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ここ数日、氷河にあれを着せたくて、四苦八苦しておりました。
で、どうにもまとまりがつかなくて、いっそ以前に書いた話の続きにしてしまおうかと。
そのほうが、まだちょっと、無茶ぶりに理由がつくかななんて思いまして。
というわけで、先に、過去に書いた話を載せようと思います。
まだブログを始めようなんて思う前に書いた話で、ストーリーより萌えを追求した感じ・・・。
でも書いていてすごく楽しかったので、結構気に入っていたりします。
一・氷テイストなのでご注意ください。
お色気シーンはございませんが、カミュ先生の許容範囲外です。
3話完結です。
で、どうにもまとまりがつかなくて、いっそ以前に書いた話の続きにしてしまおうかと。
そのほうが、まだちょっと、無茶ぶりに理由がつくかななんて思いまして。
というわけで、先に、過去に書いた話を載せようと思います。
まだブログを始めようなんて思う前に書いた話で、ストーリーより萌えを追求した感じ・・・。
でも書いていてすごく楽しかったので、結構気に入っていたりします。
一・氷テイストなのでご注意ください。
お色気シーンはございませんが、カミュ先生の許容範囲外です。
3話完結です。
「ね?お願い、僕の気持ちもわかるでしょう?」
琥珀色の丸い瞳にすがるように見つめられて、さっきから氷河は困り果てていた。
瞬の願いをかなえるためなら、たいていのことはするつもりでいる。命を差し出せと言われたら、差し出す覚悟もできている。
しかし、こればっかりはどうだろう。こればっかりは引き受けるわけにはゆかない。
話の始まりはこうだった。
「パンドラがね、一輝兄さんのこと、好きなんだって。」
「ほう・・・。」と氷河は読んでいた本を脇に置いた。戦闘の際にはあまりよく姿を眺める余裕もなかったが、黒髪の美女だった気がする。冥王軍を率いていた鬼のような女を、一輝の奴、いつの間に落としたというのか。
らしくもなく人のうわさ話に首を突っ込んだのが間違いだった。
「僕ね、兄さんには幸せになって欲しい。パンドラが悪いとは言わないけど、でも正直嫌なんだ。冥王軍を率いて、僕をハーデスの憑代にしようとした女性だよ?兄さんはほっとけっていうんだよ。その気もないのに、ひどいと思わない?」
「本当に、その気はないのか。」
「ないよ!ないって!パンドラだってね、冥界によさそうな人がいるみたいなんだ。兄さんさえ態度をはっきりさせれば、すべては丸く収まる話なんだよ。」
「それでね、氷河、僕考えたんだけど、兄さんに彼女がいるところを、パンドラに見せればいいんじゃないかな。」
「―彼女、いるのか?」
「ううん、ふりだよ、ふり。でね、ここが考えどころなんだ。沙織さんがやってもいいって言ってくれてるんだけど、女神をパンドラの前に連れて行くのって、ちょっと危険だよね。」
「ああ、それはいくらなんでも危険だな。」
そんなことで女神の身に何かあったら、聖戦で皆が戦った意味がなくなってしまう。
「美穂ちゃん、も、ちょっと危険だよね。」
「ああ、一般の女性を巻き込むのは危険だ。」
「だけど、ジュネや魔鈴さんに仮面を外させるわけにはいかないよね。」
「そうか・・・?仮面をつけたままじゃダメなもんか?」
「ダメだよ!愛し合うもの同士のデートで仮面って変でしょう。第一説得力がないよ。」
「そういうもんか・・・。」
「でね、氷河、いないんだよ、他に。
だからね、氷河、女の子になって。」
「は?」
「僕でよければやるんだけど、思いっきり顔、バレてるからさ。大丈夫、女の子の格好して、喫茶店で兄さんとケーキ食べてくるだけだから。」
「おかしいだろう、それ。どう考えたって不自然だ。そんなんでパンドラが納得するとも思えないし、一輝だって引き受けるわけがないだろう。」
「兄さんなら大丈夫。さっきOKとったよ」
「嘘―。」
「ね?氷河、かわりに氷河の願い事きくから。ラダマンティスに出来ることなら何でもするよ?」
何故そこで三巨頭の名がでてくるのか氷河は首をひねった。あの猛烈に強かった男。
「冥界は冥界でパンドラを幸せにしたいんだよ。だからね、忠誠心篤いラダマンティスが協力者。」
そんなところまで手が回っていたのかと氷河はたじろいだ。
「し、紫龍はどうだろう?」
「友達を、身代りにするの?」
「いや、だって髪長いし・・・。パンドラともあまり顔を合わせていない点では俺と一緒だろう?」
「うん。でも氷河の方がいいと思うんだ。氷河ならあながち嘘にならないっていうか・・・」
「は?」
「ううん。兎に角、ね?お願い。喫茶店までの車は出してもらえるから、本当にケーキ食べてくるだけ。」
「女の格好で一緒にケーキ喰っただけで恋人に見えるのか?」
「そりゃあ、まぁ、手ぐらいはつないでもらいたいけど・・・。」
「厭だ!」
「じゃあ、やっぱり女神に頼むしかないのかな。何だか僕たちって、いつも女神を前線に立たせてる・・・。」
「・・・わかった。女に見えなくても文句言うなよ?それと―スカートは履かない。」
「うん。うん。ありがとう、氷河。やっぱり氷河は優しいや。ねぇ、ラダマンティスに何お願いしようか。」
「別に、頼みたいことなんてない。」
「でもさぁ、結構力あるみたいだよ?」
「だったら・・・冥界に花を。」
「え?」
「少しの期間でもかまわないから、各プリズンに花を飾ってくれ。」
「・・・誰か、知り合いがいるの?」
「そんなんじゃないけど、あそこは何かさみしすぎる。」
へぇ・・・と興味ありげな顔をして、瞬は氷河の瞳を覗き込むようにした。
日曜日。
「瞬!スカートは履かないって言ったろう!」
「うん、そうだよ。よく見てよ。ちゃんと足のところ、分かれてるでしょう?」
「でもこれ・・・・」
氷河が手にしているのは、淡いベージュのフレアキュロットだった。
「こんなひらひらして、しかもこんな短いの着れるかっ!」
「大丈夫。これと白のロングブーツを合わせるんだよ。それなら足も隠れるし、聖衣とあまり変わらないでしょう?兎に角、絶対似合うから着てみてよ。」
何でこんなことを引き受けてしまったのかと今更悔みながら、氷河は服を受け取った。
そこへ、品の良い紺のスーツをまとった屋敷の当主が現れた。
「メイク担当を連れてきましたよ。氷河、今日はお願いしますね。」
女神の微笑には、有無を言わせぬ迫力があった。
一時間後、部屋から出てきた氷河の姿に、瞬、沙織、そして野次馬の星矢は息を飲んだ。
蒼い涼しげな瞳、透き通るような白い肌、淡いピンクのグロスを塗った唇は、可憐だがどこか誘うようでもある。いつも自然乾燥で無造作なままの金髪は、まっすぐにおろされ、端正な顔立ちを引き立てている。
こんなに美しい少女は、ブラウン管の中ですら、そうはお目にかかれないだろう。
「化粧って、コワイな。」と星矢。
「ううん、僕は氷河がコワイよ。」
絶世の美少女は至極不機嫌で、いつも通り大股に歩みを進めた。
「氷河、歩き方・・・」
瞬が言いかけたところで、沙織がすっと歩み寄ってふんわりとした白のセーターをまとった氷河の肩に手を置いた。
「氷河、お母様のことは覚えていますね。今から数時間、お母様になったつもりで。」
しばし無言で何か思い出すようにしていた氷河は、すっと顔をあげて数歩歩いた。
「ええ、素敵ですよ。」
沙織の褒め言葉にくじけそうになりながらも、とに角この数時間、やりきってみせようと氷河は覚悟を固めた。
こちらがニ時間近くもかけて支度したというのに、一輝の方はいつもと変わらぬ普段着である。どういうつもりでひきうけたのか、外に用意された高級車の前に立っていた。
氷河が近づくと、一瞬目を見開いてから、すぐに顔をそむけた。
「笑うんなら笑えばいいだろう。お前のせいだからなっ!」
そう叫ぶと、氷河はとっとと車に乗り込んだ。すれ違いざま、さらさらと揺れた髪から甘いシャンプーの香りがした。
瞬は、実兄の好みを知っている。だから服装にせよ、メイクにせよ、それに沿うものをお願いしたのだが。
「大丈夫かな、兄さん。」
氷河を見てぱっと顔を赤くした一輝を見て、ちょっとやりすぎたかと瞬は首をかしげた。
PR
追記を閉じる▲
「ね?お願い、僕の気持ちもわかるでしょう?」
琥珀色の丸い瞳にすがるように見つめられて、さっきから氷河は困り果てていた。
瞬の願いをかなえるためなら、たいていのことはするつもりでいる。命を差し出せと言われたら、差し出す覚悟もできている。
しかし、こればっかりはどうだろう。こればっかりは引き受けるわけにはゆかない。
話の始まりはこうだった。
「パンドラがね、一輝兄さんのこと、好きなんだって。」
「ほう・・・。」と氷河は読んでいた本を脇に置いた。戦闘の際にはあまりよく姿を眺める余裕もなかったが、黒髪の美女だった気がする。冥王軍を率いていた鬼のような女を、一輝の奴、いつの間に落としたというのか。
らしくもなく人のうわさ話に首を突っ込んだのが間違いだった。
「僕ね、兄さんには幸せになって欲しい。パンドラが悪いとは言わないけど、でも正直嫌なんだ。冥王軍を率いて、僕をハーデスの憑代にしようとした女性だよ?兄さんはほっとけっていうんだよ。その気もないのに、ひどいと思わない?」
「本当に、その気はないのか。」
「ないよ!ないって!パンドラだってね、冥界によさそうな人がいるみたいなんだ。兄さんさえ態度をはっきりさせれば、すべては丸く収まる話なんだよ。」
「それでね、氷河、僕考えたんだけど、兄さんに彼女がいるところを、パンドラに見せればいいんじゃないかな。」
「―彼女、いるのか?」
「ううん、ふりだよ、ふり。でね、ここが考えどころなんだ。沙織さんがやってもいいって言ってくれてるんだけど、女神をパンドラの前に連れて行くのって、ちょっと危険だよね。」
「ああ、それはいくらなんでも危険だな。」
そんなことで女神の身に何かあったら、聖戦で皆が戦った意味がなくなってしまう。
「美穂ちゃん、も、ちょっと危険だよね。」
「ああ、一般の女性を巻き込むのは危険だ。」
「だけど、ジュネや魔鈴さんに仮面を外させるわけにはいかないよね。」
「そうか・・・?仮面をつけたままじゃダメなもんか?」
「ダメだよ!愛し合うもの同士のデートで仮面って変でしょう。第一説得力がないよ。」
「そういうもんか・・・。」
「でね、氷河、いないんだよ、他に。
だからね、氷河、女の子になって。」
「は?」
「僕でよければやるんだけど、思いっきり顔、バレてるからさ。大丈夫、女の子の格好して、喫茶店で兄さんとケーキ食べてくるだけだから。」
「おかしいだろう、それ。どう考えたって不自然だ。そんなんでパンドラが納得するとも思えないし、一輝だって引き受けるわけがないだろう。」
「兄さんなら大丈夫。さっきOKとったよ」
「嘘―。」
「ね?氷河、かわりに氷河の願い事きくから。ラダマンティスに出来ることなら何でもするよ?」
何故そこで三巨頭の名がでてくるのか氷河は首をひねった。あの猛烈に強かった男。
「冥界は冥界でパンドラを幸せにしたいんだよ。だからね、忠誠心篤いラダマンティスが協力者。」
そんなところまで手が回っていたのかと氷河はたじろいだ。
「し、紫龍はどうだろう?」
「友達を、身代りにするの?」
「いや、だって髪長いし・・・。パンドラともあまり顔を合わせていない点では俺と一緒だろう?」
「うん。でも氷河の方がいいと思うんだ。氷河ならあながち嘘にならないっていうか・・・」
「は?」
「ううん。兎に角、ね?お願い。喫茶店までの車は出してもらえるから、本当にケーキ食べてくるだけ。」
「女の格好で一緒にケーキ喰っただけで恋人に見えるのか?」
「そりゃあ、まぁ、手ぐらいはつないでもらいたいけど・・・。」
「厭だ!」
「じゃあ、やっぱり女神に頼むしかないのかな。何だか僕たちって、いつも女神を前線に立たせてる・・・。」
「・・・わかった。女に見えなくても文句言うなよ?それと―スカートは履かない。」
「うん。うん。ありがとう、氷河。やっぱり氷河は優しいや。ねぇ、ラダマンティスに何お願いしようか。」
「別に、頼みたいことなんてない。」
「でもさぁ、結構力あるみたいだよ?」
「だったら・・・冥界に花を。」
「え?」
「少しの期間でもかまわないから、各プリズンに花を飾ってくれ。」
「・・・誰か、知り合いがいるの?」
「そんなんじゃないけど、あそこは何かさみしすぎる。」
へぇ・・・と興味ありげな顔をして、瞬は氷河の瞳を覗き込むようにした。
日曜日。
「瞬!スカートは履かないって言ったろう!」
「うん、そうだよ。よく見てよ。ちゃんと足のところ、分かれてるでしょう?」
「でもこれ・・・・」
氷河が手にしているのは、淡いベージュのフレアキュロットだった。
「こんなひらひらして、しかもこんな短いの着れるかっ!」
「大丈夫。これと白のロングブーツを合わせるんだよ。それなら足も隠れるし、聖衣とあまり変わらないでしょう?兎に角、絶対似合うから着てみてよ。」
何でこんなことを引き受けてしまったのかと今更悔みながら、氷河は服を受け取った。
そこへ、品の良い紺のスーツをまとった屋敷の当主が現れた。
「メイク担当を連れてきましたよ。氷河、今日はお願いしますね。」
女神の微笑には、有無を言わせぬ迫力があった。
一時間後、部屋から出てきた氷河の姿に、瞬、沙織、そして野次馬の星矢は息を飲んだ。
蒼い涼しげな瞳、透き通るような白い肌、淡いピンクのグロスを塗った唇は、可憐だがどこか誘うようでもある。いつも自然乾燥で無造作なままの金髪は、まっすぐにおろされ、端正な顔立ちを引き立てている。
こんなに美しい少女は、ブラウン管の中ですら、そうはお目にかかれないだろう。
「化粧って、コワイな。」と星矢。
「ううん、僕は氷河がコワイよ。」
絶世の美少女は至極不機嫌で、いつも通り大股に歩みを進めた。
「氷河、歩き方・・・」
瞬が言いかけたところで、沙織がすっと歩み寄ってふんわりとした白のセーターをまとった氷河の肩に手を置いた。
「氷河、お母様のことは覚えていますね。今から数時間、お母様になったつもりで。」
しばし無言で何か思い出すようにしていた氷河は、すっと顔をあげて数歩歩いた。
「ええ、素敵ですよ。」
沙織の褒め言葉にくじけそうになりながらも、とに角この数時間、やりきってみせようと氷河は覚悟を固めた。
こちらがニ時間近くもかけて支度したというのに、一輝の方はいつもと変わらぬ普段着である。どういうつもりでひきうけたのか、外に用意された高級車の前に立っていた。
氷河が近づくと、一瞬目を見開いてから、すぐに顔をそむけた。
「笑うんなら笑えばいいだろう。お前のせいだからなっ!」
そう叫ぶと、氷河はとっとと車に乗り込んだ。すれ違いざま、さらさらと揺れた髪から甘いシャンプーの香りがした。
瞬は、実兄の好みを知っている。だから服装にせよ、メイクにせよ、それに沿うものをお願いしたのだが。
「大丈夫かな、兄さん。」
氷河を見てぱっと顔を赤くした一輝を見て、ちょっとやりすぎたかと瞬は首をかしげた。
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック