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遅ればせながら、パラ銀に行かれた皆様、お疲れ様でした。
連休中は、子供に踏みつけられながら炬燵で爆睡・・・というダメな時間を過ごしておりました。
もにゃもにゃ妄想だけはしていたけれど、いいにいさんの日も、いいふたごの日も、いいフナの日も通り過ぎてしまいました。
龍・氷を書こうと思ったら、妄想内のラストで水餃子食べて仲直り。
一・氷を書こうと思ったら、妄想内のラストで牛丼食べて仲直り。
そんなオチ目指して、頑張って書く気になれない・・・orz
一・氷が好きと言いながら、自分で書こうと思うと一線越えさせるのがとっても難しいです。
牛丼までにフフフな展開をと思ったのに・・・。
というわけで(?)、まったく兄さんの出てこない前半を、もともとそういう話だったことにしてUPしてみます。
ポセイドン篇からハーデス篇の間が、どんだけ好きなんだという・・・。
連休中は、子供に踏みつけられながら炬燵で爆睡・・・というダメな時間を過ごしておりました。
もにゃもにゃ妄想だけはしていたけれど、いいにいさんの日も、いいふたごの日も、いいフナの日も通り過ぎてしまいました。
龍・氷を書こうと思ったら、妄想内のラストで水餃子食べて仲直り。
一・氷を書こうと思ったら、妄想内のラストで牛丼食べて仲直り。
そんなオチ目指して、頑張って書く気になれない・・・orz
一・氷が好きと言いながら、自分で書こうと思うと一線越えさせるのがとっても難しいです。
牛丼までにフフフな展開をと思ったのに・・・。
というわけで(?)、まったく兄さんの出てこない前半を、もともとそういう話だったことにしてUPしてみます。
ポセイドン篇からハーデス篇の間が、どんだけ好きなんだという・・・。
雨宿り
戦いの傷が癒えてきた。
ベッドから起き上がり、歩くくらいのことなら一人でできる。集中治療室からいつもの城戸邸に戻り、互いの怪我を労りながらの生活。女神は聖域に向かったが、ポセイドンとの戦いで傷ついた5人は、ついてゆくことを許されなかった。
リハビリから戻った氷河が、冷蔵庫から水を取り出して部屋へと戻ってゆく。
キンとした冷たい小宇宙が、その周りを覆っていた。
氷河は、戦いのときのままだ。
聖衣こそ纏っていないものの、常に何者かの気配を伺っている。
「聖域では黄金聖闘士達が、聖戦に備えている。俺たちが気を抜かないのは当たり前のことだ」
呟くように言った言葉は正しかった。
けれども幾か所にも巻かれた包帯が、特に顔半分を隠すように巻かれた左目の包帯が、痛々しく瞬の胸に突き刺さった。
戦うことなんて、考えないで。
そう、言いたくなる。
もうこれ以上、君の傷つくところなんて見たくない。
喉につかえた言葉を持て余している間に、氷河は背を向けて行ってしまう。
前よりまっすぐに立っているのに。
誰かと目を合わせることがなくなった。
「聖戦って、本当に起こるのかな」
リビングのドアが閉まってからしばらくして、瞬はぽつりと言った。
「神話の時代からずっと繰り返されてきたんだろ? それに備えて黄金聖闘士達はポセイドンが来ても聖域を離れられなかったんじゃないか」
星矢の答えは明快だ。
「・・・そうだけど・・・。戦いを避ける方法を、見つけられたらいいのにね」
温かな紅茶の入ったカップを、瞬は両手で包むようにして目を落とした。
「沙織さんなら、いつだってそれを第一に考えるだろ? 相手が聞く耳持たないってとこが悔しいけど」
「・・・うん・・・」
「とにかく今は、自分達の怪我を治すことが大切だ。今のままでは十分に闘えるとは言い難いからな」
そう言った紫龍は、目の治療を受けるために近々五老峰に帰ることが決まっている。
「おい、星矢、お客様だ」
辰巳の声が聞こえて、星矢は玄関へと向かった。
長話の末、星矢は箱をぶら下げて戻ってきた。
「星の子学園からお見舞いだって」
箱には子供たちの字でありがとうと書いてあった。
中には5つのケーキ。
「うわっ、うまそー。瞬は2個喰えな」
「いいよ・・・兄さん、いないのが悪いんだ。早いもん勝ちにしよう」
「氷河、呼んでくるか」
「あ、うん、僕が言ってくるよ」
紫龍を座らせて、瞬は席を立った。
前は、こんな風に戸惑ったりしなかった。
この部屋のドアを叩くのを。
叩いても返事がないからドアを開けると、大抵氷河は眠ってるんだ。聖闘士の癖に、寝起きが悪くって。眩しいほどの金色の髪が、変な風にぴょこんとはねていたりして。
そんなことを思い出しながら息を詰めてノックをすると、すぐに扉のドアが開いた。
「あ、ケーキ、貰ったから、お茶にしない?」
一瞬、右の瞳が揺れた。
瞬の発した言葉の意味を理解するまでに、時間が必要だという顔だった。
「星の子学園のみんなからのお見舞いなんだ。僕たちにって。折角だから、みんなで頂こうよ」
「・・・・・・わかった。後で行く」
ケーキは3種類あった。
星矢がショートケーキ、紫龍がチョコレートケーキを取ると、丁度3種類がひとつずつ残った。
「瞬、好きなの選べよ」
「うん、でも・・・」
「あ、来た。おーい、氷河、ケーキどれにする?」
差し出された箱を氷河は戸惑ったように眺めた。
それは氷河には、ひどく場違いなものに見えた。
欲しいものなど、この世にはもう何もない。何かを選べるなら、それは・・・。
「どれが食べたい?」
瞬の声が、遠く聞こえる。
別の子どもの声が、それに重なった。
「氷河、どっち食べたい?」
「え? アイザックは?」
「じゃあ、二人で食べたい方指差そうぜ。せーのっ!」
無意識に指が、左の包帯に触れた。
「どうしたの? 目、痛むの?」
瞬の声がますます遠くなる。
「いや・・・。悪い、少し、部屋で休む」
感情につぶされてしまう前に。
逃げるようにして氷河はその場を離れた。
小さな指が、二人してチョコレートの包みを指差す。
「何だよ。二人ともおんなじかぁ。そしたらじゃんけんな・・・じゃんけんぽん!!・・・あ、俺やっぱ、こっちが良くなった」
「嘘だよ。アイザック、勝ったんだからチョコ食べろよ」
「でもさ、飴の方が長く口の中に入ってるんだぜ。だから飴の方がいい」
「本当に?」
「ああ、本当にこっちのがいい」
「本当に本当に本当??」
「ああ。本当に本当に本当だ」
頭を揺すると声は消えた。
代わりに、血の色が視界を染める。
もう一度頭を揺する。
まだ見ぬ敵の姿が、うっすらと聖域の向こうに見えた気がした。
「カミュと、アイザックの分まで戦う・・・」
握りしめた拳から、うすく凍気が立ち上った。
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雨宿り
戦いの傷が癒えてきた。
ベッドから起き上がり、歩くくらいのことなら一人でできる。集中治療室からいつもの城戸邸に戻り、互いの怪我を労りながらの生活。女神は聖域に向かったが、ポセイドンとの戦いで傷ついた5人は、ついてゆくことを許されなかった。
リハビリから戻った氷河が、冷蔵庫から水を取り出して部屋へと戻ってゆく。
キンとした冷たい小宇宙が、その周りを覆っていた。
氷河は、戦いのときのままだ。
聖衣こそ纏っていないものの、常に何者かの気配を伺っている。
「聖域では黄金聖闘士達が、聖戦に備えている。俺たちが気を抜かないのは当たり前のことだ」
呟くように言った言葉は正しかった。
けれども幾か所にも巻かれた包帯が、特に顔半分を隠すように巻かれた左目の包帯が、痛々しく瞬の胸に突き刺さった。
戦うことなんて、考えないで。
そう、言いたくなる。
もうこれ以上、君の傷つくところなんて見たくない。
喉につかえた言葉を持て余している間に、氷河は背を向けて行ってしまう。
前よりまっすぐに立っているのに。
誰かと目を合わせることがなくなった。
「聖戦って、本当に起こるのかな」
リビングのドアが閉まってからしばらくして、瞬はぽつりと言った。
「神話の時代からずっと繰り返されてきたんだろ? それに備えて黄金聖闘士達はポセイドンが来ても聖域を離れられなかったんじゃないか」
星矢の答えは明快だ。
「・・・そうだけど・・・。戦いを避ける方法を、見つけられたらいいのにね」
温かな紅茶の入ったカップを、瞬は両手で包むようにして目を落とした。
「沙織さんなら、いつだってそれを第一に考えるだろ? 相手が聞く耳持たないってとこが悔しいけど」
「・・・うん・・・」
「とにかく今は、自分達の怪我を治すことが大切だ。今のままでは十分に闘えるとは言い難いからな」
そう言った紫龍は、目の治療を受けるために近々五老峰に帰ることが決まっている。
「おい、星矢、お客様だ」
辰巳の声が聞こえて、星矢は玄関へと向かった。
長話の末、星矢は箱をぶら下げて戻ってきた。
「星の子学園からお見舞いだって」
箱には子供たちの字でありがとうと書いてあった。
中には5つのケーキ。
「うわっ、うまそー。瞬は2個喰えな」
「いいよ・・・兄さん、いないのが悪いんだ。早いもん勝ちにしよう」
「氷河、呼んでくるか」
「あ、うん、僕が言ってくるよ」
紫龍を座らせて、瞬は席を立った。
前は、こんな風に戸惑ったりしなかった。
この部屋のドアを叩くのを。
叩いても返事がないからドアを開けると、大抵氷河は眠ってるんだ。聖闘士の癖に、寝起きが悪くって。眩しいほどの金色の髪が、変な風にぴょこんとはねていたりして。
そんなことを思い出しながら息を詰めてノックをすると、すぐに扉のドアが開いた。
「あ、ケーキ、貰ったから、お茶にしない?」
一瞬、右の瞳が揺れた。
瞬の発した言葉の意味を理解するまでに、時間が必要だという顔だった。
「星の子学園のみんなからのお見舞いなんだ。僕たちにって。折角だから、みんなで頂こうよ」
「・・・・・・わかった。後で行く」
ケーキは3種類あった。
星矢がショートケーキ、紫龍がチョコレートケーキを取ると、丁度3種類がひとつずつ残った。
「瞬、好きなの選べよ」
「うん、でも・・・」
「あ、来た。おーい、氷河、ケーキどれにする?」
差し出された箱を氷河は戸惑ったように眺めた。
それは氷河には、ひどく場違いなものに見えた。
欲しいものなど、この世にはもう何もない。何かを選べるなら、それは・・・。
「どれが食べたい?」
瞬の声が、遠く聞こえる。
別の子どもの声が、それに重なった。
「氷河、どっち食べたい?」
「え? アイザックは?」
「じゃあ、二人で食べたい方指差そうぜ。せーのっ!」
無意識に指が、左の包帯に触れた。
「どうしたの? 目、痛むの?」
瞬の声がますます遠くなる。
「いや・・・。悪い、少し、部屋で休む」
感情につぶされてしまう前に。
逃げるようにして氷河はその場を離れた。
小さな指が、二人してチョコレートの包みを指差す。
「何だよ。二人ともおんなじかぁ。そしたらじゃんけんな・・・じゃんけんぽん!!・・・あ、俺やっぱ、こっちが良くなった」
「嘘だよ。アイザック、勝ったんだからチョコ食べろよ」
「でもさ、飴の方が長く口の中に入ってるんだぜ。だから飴の方がいい」
「本当に?」
「ああ、本当にこっちのがいい」
「本当に本当に本当??」
「ああ。本当に本当に本当だ」
頭を揺すると声は消えた。
代わりに、血の色が視界を染める。
もう一度頭を揺する。
まだ見ぬ敵の姿が、うっすらと聖域の向こうに見えた気がした。
「カミュと、アイザックの分まで戦う・・・」
握りしめた拳から、うすく凍気が立ち上った。
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