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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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いつもPCの傍らに「聖闘士星矢大全」があります。
先日オットに見つかって「あ、コレ・・・。」(ちなみにオットも読破済み。LC読むとき便利だったようです。)
「うん、ちょっと調べたいことあって・・・。」
「普通の主婦はこの本で調べたいことなんかないんだぞ!」

・・・いや、あるんだよ。毎日のように!!!
あの人とこの人の体重差とか。
マニアックな誕生日がパスワードだったときとか・・・。

などと言えずに薄ら笑いです。

あまりに更新できないので、なんとなく思いついて先日書いたテロメア番外編を。
時間的には、前回の話のすぐ後です。
氷河出てきませんが・・・ま、5月だからいいかな・・・?


拍手[14回]



 
パエリアをたらふく食べたミロは、そのままソファーに転がって、くうくうと寝息をたてはじめた。
クッションを抱きしめて丸くなる姿は、大きな子犬のようでもある。
「おい、寝るんなら部屋戻って寝ろよ。」
「んー。」
返事はしたものの、目を開ける気配はない。
やれやれとため息をついて、アフロディーテは立ち上がり毛布を掛けてやった。
 
優しげなその表情は、振り返ったときには一変していた。
デスマスクがワインを注ぐと、グラスを持ち上げ一息に赤い液体を飲み干す。
 
「まっぴらだな。過去を晒されるなんて。」
 
そう呟くと、三人は一様に苦い顔をした。
 
「あれだな。共同戦線だ。このうちの誰かがおかしくなったら、残りが全力でかくまう。24時間押し込んで誰にも見せねぇ。」
「それしかないだろうな。だが、いつどこでなるかわからん。」
「なんかあったら他の二人のところへ行くようにと、何かに書いて持っとくことだな。おい、紙貸せよ。思い立ったら書いとこうぜ。」
デスマスクは差し出した紙に、さらさらと文字を書きつけた。
 
「カプリコーン、ピスケスの元へ行け。」
それから少しペンをとめ書き足した。
「俺達は負けたが聖戦には勝った。24時間、元に戻るまで誰とも喋るな。」
書いてからそれをくるくると丸めてポケットに突っ込んだ。
「袋かなんかに入れて首から下げときゃどうにかなるだろ。」
 
二人もそれに習う。
 
「今度のように、三人まとめて、なんてことあるか。」
至極平和な顔で眠るミロを眺めながら、シュラが呟いた。
デスマスクは口の端を吊り上げて両手をあげた。
「そうなったらもう、諦めるしかねえな。」
 
 
明け方近く、ミロが元に戻ったのを契機に別れた。
目を覚ましたミロは呆気に取られた顔をして、今にも千切れそうになりながら、なんとかまとわりついている服をながめた。
 
「宝瓶宮には氷河か。」
そう呟く。
シュラが投げた服に着替えると、こっちもキツイと呻いた。
「14才3人で楽しそうだったぞ。」
「3人?」
「君と、氷河と、カミュだ。」
ミロは目を丸くして、それからゲラゲラと笑った。
「なんだよ。あいつもか。なんにも覚えてなくてつまんないな。」
 
 
宝瓶宮にさしかかると、元に戻ったカミュが立っていた。
 
「色々と迷惑をかけたようだな。」
少し顔を赤くして言った。
「あの服、駄目にしてしまった。」
「いいよ。なかなか似合っていたけどな。さっき、ミロが元に戻った。」
「そうか。」
 
瞳の色は変わらない。
ミロもカミュも。
過酷な事実を乗り越えてきたとしても、己に恥じるものは何もない。
いや、私とて恥じているわけではない。
だが。
 
アフロディーテは部屋にもどり、ポケットの紙片をとりだすと、書き加えた。
 
彼は光に戻った。
彼は私のものではない。
 
銀細工のロケットにそれを挟むと首から下げる。
ため息をひとつついて、アフロディーテは立ち上がった。
 
明るみ始めた空に、まだ星が残っている。
その中を、アフロディーテは一人歩いた。
 
ここに咲くのはすべて毒薔薇だ。
私と彼以外を寄せ付けぬための。
 
あれから、ここを訪ねたことなどない。
だが、時を巻き戻したら、私は間違いなくここに来るだろう。
あの頃はそれだけ足しげく、この場所を訪ねていたのだから。
 
小さな洞穴に、脇道がある。
その道をゆくとがらんとひらけた空間があって、さらに奥深く道が続く。
あの時揺らめいていた蝋燭の光を思い出す。
狂乱の声が聞こえてくる気がして、アフロディーテは思わず眉を顰めた。
天然の壁に指を這わせながら進んでゆく。
と、いくらも歩かぬうち、道は途絶えた。
反対側から、突き崩された跡。
湿った土の匂いがして、ごく最近それがなされたことが知れた。
 
先を越されたな。
 
アフロディーテは僅かに唇の端をあげると、岩肌に背を預けた。
 
 
**********
 
 
「今日はな、誘いに来た。」
教皇の間に珍しく現れたデスマスクは、大理石の机に片手をついて言った。
書類に目を落としていたサガが、顔を上げる。
「例のクロノスさんのいたずらだよ。俺たちもあんたも後ろ暗いところがあるからな。いざってときにはかばい合おうってことになった。保険はいくつあってもいい。あんたを誘いに来た。」
サガは黙っている。黙ったまま、デスマスクを見つめ、やがて目を伏せた。
「一人で閉じこもろうとか考えてっと、また爆発すんぞ。」
「う・・・。」
「何も考えずに、正面の階段を降りて来い。と、あいつからの伝言だ。」
 
 
 
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パエリアをたらふく食べたミロは、そのままソファーに転がって、くうくうと寝息をたてはじめた。
クッションを抱きしめて丸くなる姿は、大きな子犬のようでもある。
「おい、寝るんなら部屋戻って寝ろよ。」
「んー。」
返事はしたものの、目を開ける気配はない。
やれやれとため息をついて、アフロディーテは立ち上がり毛布を掛けてやった。
 
優しげなその表情は、振り返ったときには一変していた。
デスマスクがワインを注ぐと、グラスを持ち上げ一息に赤い液体を飲み干す。
 
「まっぴらだな。過去を晒されるなんて。」
 
そう呟くと、三人は一様に苦い顔をした。
 
「あれだな。共同戦線だ。このうちの誰かがおかしくなったら、残りが全力でかくまう。24時間押し込んで誰にも見せねぇ。」
「それしかないだろうな。だが、いつどこでなるかわからん。」
「なんかあったら他の二人のところへ行くようにと、何かに書いて持っとくことだな。おい、紙貸せよ。思い立ったら書いとこうぜ。」
デスマスクは差し出した紙に、さらさらと文字を書きつけた。
 
「カプリコーン、ピスケスの元へ行け。」
それから少しペンをとめ書き足した。
「俺達は負けたが聖戦には勝った。24時間、元に戻るまで誰とも喋るな。」
書いてからそれをくるくると丸めてポケットに突っ込んだ。
「袋かなんかに入れて首から下げときゃどうにかなるだろ。」
 
二人もそれに習う。
 
「今度のように、三人まとめて、なんてことあるか。」
至極平和な顔で眠るミロを眺めながら、シュラが呟いた。
デスマスクは口の端を吊り上げて両手をあげた。
「そうなったらもう、諦めるしかねえな。」
 
 
明け方近く、ミロが元に戻ったのを契機に別れた。
目を覚ましたミロは呆気に取られた顔をして、今にも千切れそうになりながら、なんとかまとわりついている服をながめた。
 
「宝瓶宮には氷河か。」
そう呟く。
シュラが投げた服に着替えると、こっちもキツイと呻いた。
「14才3人で楽しそうだったぞ。」
「3人?」
「君と、氷河と、カミュだ。」
ミロは目を丸くして、それからゲラゲラと笑った。
「なんだよ。あいつもか。なんにも覚えてなくてつまんないな。」
 
 
宝瓶宮にさしかかると、元に戻ったカミュが立っていた。
 
「色々と迷惑をかけたようだな。」
少し顔を赤くして言った。
「あの服、駄目にしてしまった。」
「いいよ。なかなか似合っていたけどな。さっき、ミロが元に戻った。」
「そうか。」
 
瞳の色は変わらない。
ミロもカミュも。
過酷な事実を乗り越えてきたとしても、己に恥じるものは何もない。
いや、私とて恥じているわけではない。
だが。
 
アフロディーテは部屋にもどり、ポケットの紙片をとりだすと、書き加えた。
 
彼は光に戻った。
彼は私のものではない。
 
銀細工のロケットにそれを挟むと首から下げる。
ため息をひとつついて、アフロディーテは立ち上がった。
 
明るみ始めた空に、まだ星が残っている。
その中を、アフロディーテは一人歩いた。
 
ここに咲くのはすべて毒薔薇だ。
私と彼以外を寄せ付けぬための。
 
あれから、ここを訪ねたことなどない。
だが、時を巻き戻したら、私は間違いなくここに来るだろう。
あの頃はそれだけ足しげく、この場所を訪ねていたのだから。
 
小さな洞穴に、脇道がある。
その道をゆくとがらんとひらけた空間があって、さらに奥深く道が続く。
あの時揺らめいていた蝋燭の光を思い出す。
狂乱の声が聞こえてくる気がして、アフロディーテは思わず眉を顰めた。
天然の壁に指を這わせながら進んでゆく。
と、いくらも歩かぬうち、道は途絶えた。
反対側から、突き崩された跡。
湿った土の匂いがして、ごく最近それがなされたことが知れた。
 
先を越されたな。
 
アフロディーテは僅かに唇の端をあげると、岩肌に背を預けた。
 
 
**********
 
 
「今日はな、誘いに来た。」
教皇の間に珍しく現れたデスマスクは、大理石の机に片手をついて言った。
書類に目を落としていたサガが、顔を上げる。
「例のクロノスさんのいたずらだよ。俺たちもあんたも後ろ暗いところがあるからな。いざってときにはかばい合おうってことになった。保険はいくつあってもいい。あんたを誘いに来た。」
サガは黙っている。黙ったまま、デスマスクを見つめ、やがて目を伏せた。
「一人で閉じこもろうとか考えてっと、また爆発すんぞ。」
「う・・・。」
「何も考えずに、正面の階段を降りて来い。と、あいつからの伝言だ。」
 
 
 
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