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す、すみません。
初めに謝っておくことにします。
今回でラストなんですが、なんかちょっと生ぬるくて。
いえ、実は今別パターンで書きなおしたりなんかもしていて、でもどんなパターンで書いても結局ラストが生ぬるくなるので、とりあえずこの辺で諦めてUPします。
いつかまた書くかもしれませんので、その時またお付き合いください。
初めに謝っておくことにします。
今回でラストなんですが、なんかちょっと生ぬるくて。
いえ、実は今別パターンで書きなおしたりなんかもしていて、でもどんなパターンで書いても結局ラストが生ぬるくなるので、とりあえずこの辺で諦めてUPします。
いつかまた書くかもしれませんので、その時またお付き合いください。
うっすらと開いた瞳は、カミュを映して揺れた。
状況に気づいて逃げようとしたときには、カミュの腕に抱きしめられていた。
濡れたままの睫毛を、ぬぐうことすらできない。
それにさっき、カミュの唇が触れた。
いつからここにいた?
何だってこいつはそんな・・・。
「離せよ。」
「いやだ。」
「何でだよ。」
「離したくない。」
「・・・」
「どう思う、氷河? お前を離したくない。」
いつもと違う声音に戸惑いながら、氷河は抗うことを諦めた。カミュの体温に包まれたまま、拳だけを強く握りしめる。
「・・・あんたとは、住む世界が違う。」
「そうだ。私もそう思っていた。だから私とは違う場所に、お前の居場所を探したかった。戦いとは無縁の、お前が笑って暮らせる場所。それがこの土地なら、嬉しいと思った。」
俺の居場所・・・?
あんたはそんなものまで探そうと思ったのか。
「ずっとそばにいる、などということは、言えないのだ。だが、そう言えたらいいだろうな。」
氷河を両腕で包んだまま、カミュは柔らかな金色の髪に頬を寄せた。
「愛している。氷河。」
みつめると氷河は目を逸らした。
「違う、俺はあんたの思うような・・・」
握りしめた拳の片方を、カミュが持ち上げて唇を寄せた。節が白くなる程強く握りしめたそれを、解くように優しく食む。
「違う。・・・いや・・・」
緩みかけた小指を口に含むと、すこし力が抜けた。
「いやだ・・・」
親指まで順に唇で辿り、手のひらを通って手首に深く口づける。
「本当のお前を知っているのは私だ。」
氷河は目をつぶって強く首を振った。
「あんたは何も知らない。俺がどんな人間から生まれて、あの島でどんな・・・。」
握りしめるより前に右手の指を絡めると、背中にまわしたもう一方の手に力を込めた。
「あの島へ向かうとき、ただ一つ真っ白な光が見えた。雪よりもなお白い光。それがお前だ。氷河。」
「違う。」
「違わない。」
こつんと額を合わせる。
「ちゃんと知ってるんだ。氷河。」
光ならあのとき、俺だって見た。
あまりにも眩しくて胸が痛かった。
でも、本当は欲しかった。
そこに行けば生まれ変われるような気がしたんだ。
絡めた指先を氷河は握り返した。
もしもこのひとの心に触れられたら、それは「ずっと」と同じことだ。
どれだけ離れていても、生きてゆけるだけのものを、俺はもう貰った。
「そう、なれるようにする。あんたが思うような人間に・・・。」
逃げないようにと自分に言い聞かせて、カミュの目を見ながらそれだけ言った。
カミュは微笑むと髪を撫で、それからぎゅっと抱きしめた。
頭をカミュの胸に預けてみる。
大丈夫。
なにも壊れない。
静かに降りてくるカミュの唇に応えた。
体中が熱で満たされる。
こういうのを、しあわせっていうんだ。
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うっすらと開いた瞳は、カミュを映して揺れた。
状況に気づいて逃げようとしたときには、カミュの腕に抱きしめられていた。
濡れたままの睫毛を、ぬぐうことすらできない。
それにさっき、カミュの唇が触れた。
いつからここにいた?
何だってこいつはそんな・・・。
「離せよ。」
「いやだ。」
「何でだよ。」
「離したくない。」
「・・・」
「どう思う、氷河? お前を離したくない。」
いつもと違う声音に戸惑いながら、氷河は抗うことを諦めた。カミュの体温に包まれたまま、拳だけを強く握りしめる。
「・・・あんたとは、住む世界が違う。」
「そうだ。私もそう思っていた。だから私とは違う場所に、お前の居場所を探したかった。戦いとは無縁の、お前が笑って暮らせる場所。それがこの土地なら、嬉しいと思った。」
俺の居場所・・・?
あんたはそんなものまで探そうと思ったのか。
「ずっとそばにいる、などということは、言えないのだ。だが、そう言えたらいいだろうな。」
氷河を両腕で包んだまま、カミュは柔らかな金色の髪に頬を寄せた。
「愛している。氷河。」
みつめると氷河は目を逸らした。
「違う、俺はあんたの思うような・・・」
握りしめた拳の片方を、カミュが持ち上げて唇を寄せた。節が白くなる程強く握りしめたそれを、解くように優しく食む。
「違う。・・・いや・・・」
緩みかけた小指を口に含むと、すこし力が抜けた。
「いやだ・・・」
親指まで順に唇で辿り、手のひらを通って手首に深く口づける。
「本当のお前を知っているのは私だ。」
氷河は目をつぶって強く首を振った。
「あんたは何も知らない。俺がどんな人間から生まれて、あの島でどんな・・・。」
握りしめるより前に右手の指を絡めると、背中にまわしたもう一方の手に力を込めた。
「あの島へ向かうとき、ただ一つ真っ白な光が見えた。雪よりもなお白い光。それがお前だ。氷河。」
「違う。」
「違わない。」
こつんと額を合わせる。
「ちゃんと知ってるんだ。氷河。」
光ならあのとき、俺だって見た。
あまりにも眩しくて胸が痛かった。
でも、本当は欲しかった。
そこに行けば生まれ変われるような気がしたんだ。
絡めた指先を氷河は握り返した。
もしもこのひとの心に触れられたら、それは「ずっと」と同じことだ。
どれだけ離れていても、生きてゆけるだけのものを、俺はもう貰った。
「そう、なれるようにする。あんたが思うような人間に・・・。」
逃げないようにと自分に言い聞かせて、カミュの目を見ながらそれだけ言った。
カミュは微笑むと髪を撫で、それからぎゅっと抱きしめた。
頭をカミュの胸に預けてみる。
大丈夫。
なにも壊れない。
静かに降りてくるカミュの唇に応えた。
体中が熱で満たされる。
こういうのを、しあわせっていうんだ。
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