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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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以前書いたバレンタイン話(カテゴリー「黄金さんたちと」に入っています)から微妙に続いた話です。
あれを書いていたときに思いついた話だけれど、テイストは全然違っていたりします。
さらにつづく・・・かもです。




拍手[12回]




結局、氷河は14日、先生と過ごしたいと打ち明けた。
というより向こうが、任務にかこつけて日本にやってくるとか言い出したのだ。
それで氷河は、朝食が済んでからの1時間を、僕との約束の時間にあてた。
ミルクは小鍋で温めた。
何となく、レンジで温めたより美味しいような気がするのだ。
何かの儀式みたいに。
瓶に入ったちょっと高級な牛乳を丁寧に温めてカップに注ぐ。
風呂上りに星矢に飲まれてしまわないように、瓶には太字で飲むなと書いてある。
ホットミルクを僕の部屋に運んでゆくと、氷河は神妙な顔をして待っていた。
テーブルには昨夜のうちに焼いておいたクッキーと例のチョコレート。
「では、いよいよ。」
僕のは、氷河おすすめのホワイトチョコレート。
氷河には甘めの、ミルクチョコレートを手渡した。
氷河は包みを破ると、真剣な表情で、ミルクに入れてくるくると回す。
チョコレートが溶けて、渦を巻く。
甘く、染まってゆく。
 
「うん。」
一口飲んでから、氷河は満足そうに頷いて僕の方を見た。
「うん。美味しい。・・・味見してみる?」
「ああ。」
カップを取り換えて、互いに一口飲む。
「うまいな。」
「うん、どっちも美味しいね。」
 
そう言うと、氷河はにっこりと笑った。
時々、氷河はびっくりするような人懐っこい笑みを浮かべることがある。
多分それが、本当の氷河なんだと思う。
いつもの氷河が、偽りだというんじゃない。
本人すら気づかないところで失われてしまったものがあるからといって、それを誰に責められよう。
カミュのせい・・・と言ってしまえば楽だけど、あの人のせいだけではないことくらい僕にもわかる。
だけど、氷河のこういう顔を、僕は守りたいと思うんだ。
 
「クッキー、瞬が焼いたんだろう? すごいな。」
「そんなことないよ。クッキーはね、割と簡単だよ? 氷河だって作ればよかったのに。」
「?」
「カミュと会うんでしょう? 本命は手作りって決まってるんだよ。」
氷河は一瞬目を見開いて、それから二、三度瞬きをした。
早春の空みたいに淡い水色の瞳に、わずかな影が差す。
「チョコレートは、結局この前渡したんだ。今日は任務の合間だから、一緒に食事するだけだ。」
「ふぅん・・・。」
 
「・・・そんなんじゃないんだ。先生とは。」
 
どうもよくわからない。
どっからどう見ても、互いのことを想いあっているのは確かなのに。
ちょっとでも氷河に近づけば、カミュはこうやってけん制するのに。
それでいて互いの想いは伝えぬままだなんて。
師弟だから?
聖闘士だから?
僕らがまだ、子供だから?
 
・・・でも、だったら僕は負けない。
 
 
約束の時間はあっという間に過ぎてしまって、氷河はカップを持って立ち上がった。
「あ、いいよ。僕が洗っておく。・・・いってらっしゃい。」
「わるいな。」
氷河は所在なさげに手下ろしたまま、本当にすまなそうな顔をした。
「はいはい。」
僕もトレーを持って立ち上がり、氷河の肩を叩く。
 
あ~あ、カミュに会いに行くのかぁ・・・。
 
ドアを閉めると、氷河は自室へと戻って行った。
金色の髪が、少し儚げに揺れている。
 
「氷河、僕はいつでも、君のそばにいるよ。」
信念とか、義理とか、立場とか、任務とか。
そんなの僕には関係ない。
僕はすべてを敵にまわしても、君を一番に出来る。
 
 
 
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結局、氷河は14日、先生と過ごしたいと打ち明けた。
というより向こうが、任務にかこつけて日本にやってくるとか言い出したのだ。
それで氷河は、朝食が済んでからの1時間を、僕との約束の時間にあてた。
ミルクは小鍋で温めた。
何となく、レンジで温めたより美味しいような気がするのだ。
何かの儀式みたいに。
瓶に入ったちょっと高級な牛乳を丁寧に温めてカップに注ぐ。
風呂上りに星矢に飲まれてしまわないように、瓶には太字で飲むなと書いてある。
ホットミルクを僕の部屋に運んでゆくと、氷河は神妙な顔をして待っていた。
テーブルには昨夜のうちに焼いておいたクッキーと例のチョコレート。
「では、いよいよ。」
僕のは、氷河おすすめのホワイトチョコレート。
氷河には甘めの、ミルクチョコレートを手渡した。
氷河は包みを破ると、真剣な表情で、ミルクに入れてくるくると回す。
チョコレートが溶けて、渦を巻く。
甘く、染まってゆく。
 
「うん。」
一口飲んでから、氷河は満足そうに頷いて僕の方を見た。
「うん。美味しい。・・・味見してみる?」
「ああ。」
カップを取り換えて、互いに一口飲む。
「うまいな。」
「うん、どっちも美味しいね。」
 
そう言うと、氷河はにっこりと笑った。
時々、氷河はびっくりするような人懐っこい笑みを浮かべることがある。
多分それが、本当の氷河なんだと思う。
いつもの氷河が、偽りだというんじゃない。
本人すら気づかないところで失われてしまったものがあるからといって、それを誰に責められよう。
カミュのせい・・・と言ってしまえば楽だけど、あの人のせいだけではないことくらい僕にもわかる。
だけど、氷河のこういう顔を、僕は守りたいと思うんだ。
 
「クッキー、瞬が焼いたんだろう? すごいな。」
「そんなことないよ。クッキーはね、割と簡単だよ? 氷河だって作ればよかったのに。」
「?」
「カミュと会うんでしょう? 本命は手作りって決まってるんだよ。」
氷河は一瞬目を見開いて、それから二、三度瞬きをした。
早春の空みたいに淡い水色の瞳に、わずかな影が差す。
「チョコレートは、結局この前渡したんだ。今日は任務の合間だから、一緒に食事するだけだ。」
「ふぅん・・・。」
 
「・・・そんなんじゃないんだ。先生とは。」
 
どうもよくわからない。
どっからどう見ても、互いのことを想いあっているのは確かなのに。
ちょっとでも氷河に近づけば、カミュはこうやってけん制するのに。
それでいて互いの想いは伝えぬままだなんて。
師弟だから?
聖闘士だから?
僕らがまだ、子供だから?
 
・・・でも、だったら僕は負けない。
 
 
約束の時間はあっという間に過ぎてしまって、氷河はカップを持って立ち上がった。
「あ、いいよ。僕が洗っておく。・・・いってらっしゃい。」
「わるいな。」
氷河は所在なさげに手下ろしたまま、本当にすまなそうな顔をした。
「はいはい。」
僕もトレーを持って立ち上がり、氷河の肩を叩く。
 
あ~あ、カミュに会いに行くのかぁ・・・。
 
ドアを閉めると、氷河は自室へと戻って行った。
金色の髪が、少し儚げに揺れている。
 
「氷河、僕はいつでも、君のそばにいるよ。」
信念とか、義理とか、立場とか、任務とか。
そんなの僕には関係ない。
僕はすべてを敵にまわしても、君を一番に出来る。
 
 
 
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