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カミュ先生!!お誕生日おめでとうございます!!
氷河は「カミュ」とか「我が師カミュ」って呼ぶんだけど、私は「せんせい」という響きが好きなので、あえてそう呼ばせて頂いております。
結局、これと言ってラブラブ話は書けなかったのですが、当人たちはどこかで激甘な時間を過ごしているに違いないと信じております。
子供と一緒に寝てしまい、今、むっくり起き上がって更新。
相当前から試行錯誤していた、修業時代のお話です。
憎悪の塊となった一輝を変えたのは氷河だけど、その氷河を育てたのはカミュだっていう。
しかも、14歳で~。
苦労しただろうねぇ・・・。
せんせ~!!
貴方がいなければ、あの純白で、甘えん坊で、一見クールで、頑張り屋さんの氷河はいませんでした。
ありがとう。
ありがとう。
そして、おめでとう。
氷河は「カミュ」とか「我が師カミュ」って呼ぶんだけど、私は「せんせい」という響きが好きなので、あえてそう呼ばせて頂いております。
結局、これと言ってラブラブ話は書けなかったのですが、当人たちはどこかで激甘な時間を過ごしているに違いないと信じております。
子供と一緒に寝てしまい、今、むっくり起き上がって更新。
相当前から試行錯誤していた、修業時代のお話です。
憎悪の塊となった一輝を変えたのは氷河だけど、その氷河を育てたのはカミュだっていう。
しかも、14歳で~。
苦労しただろうねぇ・・・。
せんせ~!!
貴方がいなければ、あの純白で、甘えん坊で、一見クールで、頑張り屋さんの氷河はいませんでした。
ありがとう。
ありがとう。
そして、おめでとう。
白い翼
このところ氷河は、何かを思い悩んでいる。
母を喪った悲しみからいまだ立ち直れずにいるこの少年が、じっと唇を噛んでいるのは珍しいことではない。しかしそんなとき蒼い目は、一人記憶のうちに籠ろうかとするかのように伏せられているのが常だ。あるいはこの世にはない遠いところを、焦がれるようにじっと見つめている。
ここ数日の氷河の様子は、これとは少し違う。
時折、物言いたげにこちらをじっと見ている。
それでいて視線を返すと、驚いたように肩をすくませて目を伏せてしまうのだ。
気になりながらも、カミュは数日待った。
感情を殺すばかりではなく、自分から口にして現実を変えてゆくことを、この子も学ばねばならない。
そうはいっても、気持ちは焦れる。
それは勘のいいアイザックも同様のようで、所用のためコホーテク村へ出かけた帰り道、なんだかんだと理由をつけて、一人小屋へと走っていった。
キシキシと雪を踏みしめながら、二人は歩いてゆく。
足元だけをじっと見つめながら歩いていた氷河は、ふいに立ち止まって口を開いた。
「先生・・・聖闘士は、私闘を禁じられているんですよね?」
思いもよらぬ質問に、カミュは足を止め振り返ってまじまじと氷河をみつめた。
こちらを見上げる瞳は、救いを求めるように大きく見開かれている。
「ああ、そうだ。私闘は、禁じられている。」
その瞳の熱さに、答えきれているのだろうかと訝しみながら、カミュはただ事実を伝えた。
「・・・そうです。ここへ修行に来たとき、最初にそのことを教えていただきました。だけど、俺・・・、俺は・・・人を憎んだことがあるんです。」
恐ろしい事実を打ち明けるように、うつむいたままそう語った氷河は、唇をギュッと噛んで首を振った。
「いいえ、今でも憎んでいる。もし自分にその力があって、そいつと再び会ったなら、俺はそいつを、こ、こ・・・」
「殺すかもしれない?」
はじかれたように、氷河は頭を上げた。
怒りと憎しみに燃える瞳は、しかしすぐに涙で曇った。
この子の中にはこんな激しい感情もあったのかと、カミュは少なからず驚きを覚えた。
しかし今この子が恐れているものは、私闘を禁じる聖闘士の掟でも、憎んでいる相手でもなく、憎しみに翻弄されそうな自分自身だ。
小宇宙に目覚め、戦士としての自分の成長を自覚しているのかもしれない。
だからこそ、自分のうちにある憎しみが怖くなる。
そう思うと、カミュは氷河という少年に対する愛情を改めて感じずにはいられなかった。
「・・・何があった?」
尋ねると氷河は口を閉ざした。
迷うように瞳は揺れているが、唇は言葉を発しない。
その表情もまた、初めて見るものだった。
やがて氷河はがっくりと頭を垂れると、小さく呟くように言った。
「許せないんです・・・父を。」
それ以上のことを、氷河は語らなかった。
母親と二人で生きてきたこと。
母親を失って、ここに来たこと。
その事実からいくらかの推測はできる。
しかし、殺すかもしれない・・・とは。
大切なものを奪われた記憶なら、カミュにもある。
サガが消え、アイオロスが裏切り、ムウが行方をくらましたあの時。
ただしそれは憎しみとは別の感情で、今もまだひたひたと胸の内に燃えている。
もしも仲間たちが、目の前で殺されたとしたらどうだろう。
自分は、彼らのために敵を倒そうとするに違いない。
しかしそれは、憎しみとは違う。
自分たちの信念を貫き通すために戦うだけのことだ。
しかしもし、弟子達を殺されたのだとしたら・・・?
考えただけで、カッと胸の内が熱くなるのを感じて、カミュは自嘲した。そのとき、自分は初めて誰かを憎むのかもしれない。
「憎しみに駆られて誰かを殺したら、聖闘士でなくなるという以前に、自分が自分でなくなってしまうだろうな。」
氷河はじっとカミュの言葉を聞いている。
「お前には、お前でいてほしい。」
氷河はうつむいた。
それも含めてお前なのだと、そう言ってほしかったか?
カミュは氷河の前にしゃがむと、両の頬に流れている涙を親指でぬぐった。
「誰かを憎むというのは、そんなにも苦しいものか?」
「・・・・苦しい?」
「そう見えるが・・・?」
「苦しめてやりたいと思っているのに?」
氷河は固く結んでいた唇からフッと笑みをこぼした。
「苦しめるつもりで自分が苦しむなら、そんな感情は捨ててしまえ。」
言ってしまってから、カミュは自分の幼さを恥じた。
けれども他に取り繕う言葉などみつからない。
なんにせよ、そこから立ち直らなければならないというのは事実だ。
「・・・先生のもとでなら、それができるような気がします。」
まだ僅かに残る涙を輝かせたまま、氷河はカミュを見つめてきっぱりと言った。
ゆっくりでいい。
誇り高く生きて行こう。
カミュは立ち上がって、氷河の手をひいた。
空を渡るための翼なら、私が与えてやる。
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白い翼
このところ氷河は、何かを思い悩んでいる。
母を喪った悲しみからいまだ立ち直れずにいるこの少年が、じっと唇を噛んでいるのは珍しいことではない。しかしそんなとき蒼い目は、一人記憶のうちに籠ろうかとするかのように伏せられているのが常だ。あるいはこの世にはない遠いところを、焦がれるようにじっと見つめている。
ここ数日の氷河の様子は、これとは少し違う。
時折、物言いたげにこちらをじっと見ている。
それでいて視線を返すと、驚いたように肩をすくませて目を伏せてしまうのだ。
気になりながらも、カミュは数日待った。
感情を殺すばかりではなく、自分から口にして現実を変えてゆくことを、この子も学ばねばならない。
そうはいっても、気持ちは焦れる。
それは勘のいいアイザックも同様のようで、所用のためコホーテク村へ出かけた帰り道、なんだかんだと理由をつけて、一人小屋へと走っていった。
キシキシと雪を踏みしめながら、二人は歩いてゆく。
足元だけをじっと見つめながら歩いていた氷河は、ふいに立ち止まって口を開いた。
「先生・・・聖闘士は、私闘を禁じられているんですよね?」
思いもよらぬ質問に、カミュは足を止め振り返ってまじまじと氷河をみつめた。
こちらを見上げる瞳は、救いを求めるように大きく見開かれている。
「ああ、そうだ。私闘は、禁じられている。」
その瞳の熱さに、答えきれているのだろうかと訝しみながら、カミュはただ事実を伝えた。
「・・・そうです。ここへ修行に来たとき、最初にそのことを教えていただきました。だけど、俺・・・、俺は・・・人を憎んだことがあるんです。」
恐ろしい事実を打ち明けるように、うつむいたままそう語った氷河は、唇をギュッと噛んで首を振った。
「いいえ、今でも憎んでいる。もし自分にその力があって、そいつと再び会ったなら、俺はそいつを、こ、こ・・・」
「殺すかもしれない?」
はじかれたように、氷河は頭を上げた。
怒りと憎しみに燃える瞳は、しかしすぐに涙で曇った。
この子の中にはこんな激しい感情もあったのかと、カミュは少なからず驚きを覚えた。
しかし今この子が恐れているものは、私闘を禁じる聖闘士の掟でも、憎んでいる相手でもなく、憎しみに翻弄されそうな自分自身だ。
小宇宙に目覚め、戦士としての自分の成長を自覚しているのかもしれない。
だからこそ、自分のうちにある憎しみが怖くなる。
そう思うと、カミュは氷河という少年に対する愛情を改めて感じずにはいられなかった。
「・・・何があった?」
尋ねると氷河は口を閉ざした。
迷うように瞳は揺れているが、唇は言葉を発しない。
その表情もまた、初めて見るものだった。
やがて氷河はがっくりと頭を垂れると、小さく呟くように言った。
「許せないんです・・・父を。」
それ以上のことを、氷河は語らなかった。
母親と二人で生きてきたこと。
母親を失って、ここに来たこと。
その事実からいくらかの推測はできる。
しかし、殺すかもしれない・・・とは。
大切なものを奪われた記憶なら、カミュにもある。
サガが消え、アイオロスが裏切り、ムウが行方をくらましたあの時。
ただしそれは憎しみとは別の感情で、今もまだひたひたと胸の内に燃えている。
もしも仲間たちが、目の前で殺されたとしたらどうだろう。
自分は、彼らのために敵を倒そうとするに違いない。
しかしそれは、憎しみとは違う。
自分たちの信念を貫き通すために戦うだけのことだ。
しかしもし、弟子達を殺されたのだとしたら・・・?
考えただけで、カッと胸の内が熱くなるのを感じて、カミュは自嘲した。そのとき、自分は初めて誰かを憎むのかもしれない。
「憎しみに駆られて誰かを殺したら、聖闘士でなくなるという以前に、自分が自分でなくなってしまうだろうな。」
氷河はじっとカミュの言葉を聞いている。
「お前には、お前でいてほしい。」
氷河はうつむいた。
それも含めてお前なのだと、そう言ってほしかったか?
カミュは氷河の前にしゃがむと、両の頬に流れている涙を親指でぬぐった。
「誰かを憎むというのは、そんなにも苦しいものか?」
「・・・・苦しい?」
「そう見えるが・・・?」
「苦しめてやりたいと思っているのに?」
氷河は固く結んでいた唇からフッと笑みをこぼした。
「苦しめるつもりで自分が苦しむなら、そんな感情は捨ててしまえ。」
言ってしまってから、カミュは自分の幼さを恥じた。
けれども他に取り繕う言葉などみつからない。
なんにせよ、そこから立ち直らなければならないというのは事実だ。
「・・・先生のもとでなら、それができるような気がします。」
まだ僅かに残る涙を輝かせたまま、氷河はカミュを見つめてきっぱりと言った。
ゆっくりでいい。
誇り高く生きて行こう。
カミュは立ち上がって、氷河の手をひいた。
空を渡るための翼なら、私が与えてやる。
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