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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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氷河のお誕生日。
おお、氷河のお誕生日!!
なんて特別な日なんだ!!

0時更新したかったのに、小話書き上げられず・・・。

脳内氷河が、なかなかおめでとうを言わせてくれませんでした。

しかもお誕生日だというのに、黄金聖闘士復活してない設定・・・・。

すみません。
先生のお誕生日までには何とかしたいです・・・。



「ラヴソング」という香港映画があります。
主人公とヒロインが初めて結ばれるシーンが大大大好きで、いつか☆矢パロでやってやろうと思っていました。
んー、本当はこんなじゃないんですが、ちょっとエッセンスを混ぜ込んでみました。

拍手[16回]




久しぶりに城戸邸を訪れると、瞬が宅配業者から何かを受け取っているところだった。
紙の箱。瞬は両手でそれを丁寧に支えながら、冷蔵庫の方へと運んだ。
「何だ。それ?」
「ケーキだよ。今日、氷河の誕生日だから。・・・あ~、冷凍庫、やっぱ開けなきゃ駄目だな。」
何故、ケーキを冷凍するのか。いくら甘いものに興味のない一輝でも、普通は凍らせないことくらいはわかる。
一輝の考えていることがわかったのか、瞬は口を開いた。
「アイスケーキにしたんだ。生クリームじゃ日持ちしないから。・・・氷河さ、誕生日になると、どっかいっちゃうんだよ。誰かさんと違って、氷河は出かけるときには割と予定を言ってくれる。でも何にも言わないで、昨日から帰ってこないんだ。・・・それでも、おめでとうは言いたいでしょ。」
冷凍食品の箱を並べ替えながら瞬は言った。
「・・・兄さんならどう思う?」
「・・・」
「しょっちゅうどっか行っちゃうじゃない。ケーキなんて用意して待ってたら、嫌なものかな。」
確かに、皆に囲まれながらろうそくの火を吹き消すなんて、一輝の性に合わない。けれどもそれはただ、照れくさいというだけのことだ。城戸邸を離れることだって、まぁ、それなりには理由があるが、別段苦痛を感じてのことではない。だからこうして呼ばれれば顔を出すし、たまには長く滞在することもある。
氷河の気持ちは、わからなくもない。
だがそれで気が済まないのは、一輝も瞬と同じだ。
「あいつ、ケーキ好きだろう。星矢のときだって、一番喜んで喰ってたぞ。」
そう言いながら、一輝は部屋を後にした。
 
 
あれの行く場所くらいわかっている。
しかし日本にいたって寒いこの時期に、何もわざわざ。
一輝はダウンジャケットのファスナーを首元まであげると、小宇宙を高めた。
 
 
 
 
そこにたどりつくと、肺の中まで凍りそうで、一輝は息を詰めた。
一面真っ白なその世界に、遠く人影が見える。
いい加減、氷の上に寝そべるのはやめてもらえないか。
こんな場所で、こんなことしている馬鹿はあいつだけだ。
それでも今日は、ちゃんと防寒着を身に着けているし、一輝に気が付くとすぐに半身を起こした。
「おい、そんな格好じゃ、凍傷になるぞ。」
ジーパンにスニーカー姿の一輝を見て、氷河が言う。
誰のせいだ!と、一輝は心の中で毒づいた。
氷河が外した手袋が飛んでくる。
それから氷河はムートンのコートを脱いで、一輝の肩に掛けた。
コートの下はTシャツ。
「その姿を見てる方が寒い。」
コートを返そうとする一輝を押しとどめ、氷河は歩き始めた。
「小屋に戻ろう。」
 
 
暖炉には火がついたままで、小屋の中は暖かだった。
氷河は黙々と湯を沸かし、コーヒーを淹れて一輝に差し出した。
「適当にしていろ、出かけてくる。」
その言葉に、一輝は眉をひそめた。
「どこへだ?」
「・・・買い物。万が一お前に一食分けてやると、明日の朝食がなくなる。」
・・・やはり、帰るつもりはないか。
「・・・いつまで、こっちにいるんだ?」
「さぁな。明日食料が入荷するから、本当は明日買い物に行くつもりだった。しかしまぁ、缶詰くらいは売ってるから。」
「俺も行く。」
迷惑そうな顔。
防水でもない、ハイカットでもない、一輝のスニーカーを見る。
「これしか持ってなかったんだからしかたないだろう。」
「おまえ・・・足いくつだ?」
一輝が答えると、不機嫌そうに眉をしかめた。
奥の部屋に、歩いてゆく。
氷河が携えてきたブーツが誰のものか、大きさからそれが知れた。
「・・・いいのか?」
「いいとは思っていないが、しかたないだろう。」
セーターとコートと靴下は、氷河のを借りた。
ゴワゴワとした服をこれでもかと着こむと、氷河がマフラーを持ってきた。
背後に立つと、ぐるぐると、一輝の首に巻く。
妙にもたついたしぐさだ。
巻き終えても、氷河はそこを離れなかった。
とん、と頭を預けてくるのを、分厚く着こんだ洋服越しに感じた。
「・・・来んなよ。ここに・・・。」
 
身体の向きを変え、氷河を抱き寄せる。
これだけ皆が想っているのに、お前ひとり自分を愛せないってどういうことだ。
静かに腕を回したのに、氷河は痛そうな顔をした。
 
 
氷河の気持ちが溶けるまで、と一輝は思った。
思ってはいたが、身体のすぐ横で、暖炉の火がぺかぺかと燃えている。
着てきたネルシャツの上に、羊毛のセーター。ムートンのコートに、ぐるぐる巻きのマフラー。
「暑い・・・」
 
一輝が少し身を離してマフラーをとると、氷河は小さく笑みを漏らした。
白い指が伸びてきて、コートのボタンをはずす。
コートを脱がせ、セーターを脱がせ、元の一輝に戻してから、再び頭を預けた。
 
「俺は、お前が生まれてきて、今まで生き延びてきたことを祝いたい。皆も同じだ。」
氷河は口を開いて何か言おうとしたが、結局黙った。
何度も自分に問うてきたことだ。
引き受けて前に進んでいくことは、とうの昔に誓った。
 
「無理に笑えとは言ってない。瞬は、気長に待つ構えだ。俺だけ焦れてここに来た。」
 
 
「・・・その割に手ぶらで来たな。」
腕の中にいるくせに、いつもの憎まれ口。
 
「なめるなよ。俺を。」
 
一輝はズボンのポケットに手を突っ込むと、小さな箱を取り出して氷河のてのひらにのせた。
氷河は小さく息を吸い込むと、傷ついたような、困り果てたような顔した。
 
一輝は黙ったまま、柔らかな金色の髪をごしゃごしゃと思う様かき混ぜてやった。
 
 
 
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久しぶりに城戸邸を訪れると、瞬が宅配業者から何かを受け取っているところだった。
紙の箱。瞬は両手でそれを丁寧に支えながら、冷蔵庫の方へと運んだ。
「何だ。それ?」
「ケーキだよ。今日、氷河の誕生日だから。・・・あ~、冷凍庫、やっぱ開けなきゃ駄目だな。」
何故、ケーキを冷凍するのか。いくら甘いものに興味のない一輝でも、普通は凍らせないことくらいはわかる。
一輝の考えていることがわかったのか、瞬は口を開いた。
「アイスケーキにしたんだ。生クリームじゃ日持ちしないから。・・・氷河さ、誕生日になると、どっかいっちゃうんだよ。誰かさんと違って、氷河は出かけるときには割と予定を言ってくれる。でも何にも言わないで、昨日から帰ってこないんだ。・・・それでも、おめでとうは言いたいでしょ。」
冷凍食品の箱を並べ替えながら瞬は言った。
「・・・兄さんならどう思う?」
「・・・」
「しょっちゅうどっか行っちゃうじゃない。ケーキなんて用意して待ってたら、嫌なものかな。」
確かに、皆に囲まれながらろうそくの火を吹き消すなんて、一輝の性に合わない。けれどもそれはただ、照れくさいというだけのことだ。城戸邸を離れることだって、まぁ、それなりには理由があるが、別段苦痛を感じてのことではない。だからこうして呼ばれれば顔を出すし、たまには長く滞在することもある。
氷河の気持ちは、わからなくもない。
だがそれで気が済まないのは、一輝も瞬と同じだ。
「あいつ、ケーキ好きだろう。星矢のときだって、一番喜んで喰ってたぞ。」
そう言いながら、一輝は部屋を後にした。
 
 
あれの行く場所くらいわかっている。
しかし日本にいたって寒いこの時期に、何もわざわざ。
一輝はダウンジャケットのファスナーを首元まであげると、小宇宙を高めた。
 
 
 
 
そこにたどりつくと、肺の中まで凍りそうで、一輝は息を詰めた。
一面真っ白なその世界に、遠く人影が見える。
いい加減、氷の上に寝そべるのはやめてもらえないか。
こんな場所で、こんなことしている馬鹿はあいつだけだ。
それでも今日は、ちゃんと防寒着を身に着けているし、一輝に気が付くとすぐに半身を起こした。
「おい、そんな格好じゃ、凍傷になるぞ。」
ジーパンにスニーカー姿の一輝を見て、氷河が言う。
誰のせいだ!と、一輝は心の中で毒づいた。
氷河が外した手袋が飛んでくる。
それから氷河はムートンのコートを脱いで、一輝の肩に掛けた。
コートの下はTシャツ。
「その姿を見てる方が寒い。」
コートを返そうとする一輝を押しとどめ、氷河は歩き始めた。
「小屋に戻ろう。」
 
 
暖炉には火がついたままで、小屋の中は暖かだった。
氷河は黙々と湯を沸かし、コーヒーを淹れて一輝に差し出した。
「適当にしていろ、出かけてくる。」
その言葉に、一輝は眉をひそめた。
「どこへだ?」
「・・・買い物。万が一お前に一食分けてやると、明日の朝食がなくなる。」
・・・やはり、帰るつもりはないか。
「・・・いつまで、こっちにいるんだ?」
「さぁな。明日食料が入荷するから、本当は明日買い物に行くつもりだった。しかしまぁ、缶詰くらいは売ってるから。」
「俺も行く。」
迷惑そうな顔。
防水でもない、ハイカットでもない、一輝のスニーカーを見る。
「これしか持ってなかったんだからしかたないだろう。」
「おまえ・・・足いくつだ?」
一輝が答えると、不機嫌そうに眉をしかめた。
奥の部屋に、歩いてゆく。
氷河が携えてきたブーツが誰のものか、大きさからそれが知れた。
「・・・いいのか?」
「いいとは思っていないが、しかたないだろう。」
セーターとコートと靴下は、氷河のを借りた。
ゴワゴワとした服をこれでもかと着こむと、氷河がマフラーを持ってきた。
背後に立つと、ぐるぐると、一輝の首に巻く。
妙にもたついたしぐさだ。
巻き終えても、氷河はそこを離れなかった。
とん、と頭を預けてくるのを、分厚く着こんだ洋服越しに感じた。
「・・・来んなよ。ここに・・・。」
 
身体の向きを変え、氷河を抱き寄せる。
これだけ皆が想っているのに、お前ひとり自分を愛せないってどういうことだ。
静かに腕を回したのに、氷河は痛そうな顔をした。
 
 
氷河の気持ちが溶けるまで、と一輝は思った。
思ってはいたが、身体のすぐ横で、暖炉の火がぺかぺかと燃えている。
着てきたネルシャツの上に、羊毛のセーター。ムートンのコートに、ぐるぐる巻きのマフラー。
「暑い・・・」
 
一輝が少し身を離してマフラーをとると、氷河は小さく笑みを漏らした。
白い指が伸びてきて、コートのボタンをはずす。
コートを脱がせ、セーターを脱がせ、元の一輝に戻してから、再び頭を預けた。
 
「俺は、お前が生まれてきて、今まで生き延びてきたことを祝いたい。皆も同じだ。」
氷河は口を開いて何か言おうとしたが、結局黙った。
何度も自分に問うてきたことだ。
引き受けて前に進んでいくことは、とうの昔に誓った。
 
「無理に笑えとは言ってない。瞬は、気長に待つ構えだ。俺だけ焦れてここに来た。」
 
 
「・・・その割に手ぶらで来たな。」
腕の中にいるくせに、いつもの憎まれ口。
 
「なめるなよ。俺を。」
 
一輝はズボンのポケットに手を突っ込むと、小さな箱を取り出して氷河のてのひらにのせた。
氷河は小さく息を吸い込むと、傷ついたような、困り果てたような顔した。
 
一輝は黙ったまま、柔らかな金色の髪をごしゃごしゃと思う様かき混ぜてやった。
 
 
 
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