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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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続きです。

セキュリティの甘い施設ですみません。



拍手[10回]




「これで外、歩くんですか?」
「君、瞬間移動とか、出来ないんだっけ?」
「ぐ・・・」と氷河は言葉に詰まる。
一輝などは割と簡単にこなすが、自分はまだうまくできないのだ。
「だったら仕方ないじゃないか。」
アフロディーテはそう言って、氷河を送り出した。
 
廊下に、デスマスクが立っている。
壁に寄りかかったまま、氷河を見るとぴゅーと口笛を吹いた。
「おい、堂々と歩け。」
「・・・はい。」
 
 
極力人目を避けながら、氷河はシュラが宿泊する施設を目指した。
人の気配がすると、走るのをやめる。
ごく自然にと自分に言い聞かせて、裏道を急ぐ。
道端にたむろする男たちが、デスマスクと同じようにいやな口笛を吹く。
目立たないように、目立たないように。
そう自分に言い聞かせながら、道中、かなりの男の腕を捩じりあげ、ようやく氷河は目的地に到着した。
 
 
 
「・・・どうも気になるな。」
汗を拭きながら、シュラは再び呟いた。
「デスマスクのことか?」
「奴が妙に楽しそうだったので、部屋に戻ったら案の定、隠しカメラが仕掛けてあった。まぁそれは破壊したからいいのだが、気になるのは氷河だな。馬鹿なことに巻き込まれていなければいいのだが。」
案の定、隠しカメラという言葉にひっかかりながら、紫龍は続きを促した。
「しかし、氷河だって相当な力をつけている。そう簡単には・・・。」
いや、シュラが気になるのは、氷河の身の安全ではない。氷河に何かあればカミュが出てくるということだ。
そしてその騒動に、自分が巻き込まれることだけは、何としても避けたい。
「紫龍、力を貸してくれるか。」
いざというとき、身の潔白を証明するために、シュラは紫龍と行動を共にすることにした。
 
 
 
シュラの部屋は、割と簡単に見つかった。
1階の角部屋。窓から覗いたら、布をかぶせた大きな箱があった。
硝子を割って入るのは造作もないことだが、そういう訳にもいかない。
裏口から侵入する。
さて、どうやって部屋の鍵を手に入れよう?
 
「貴方、新入り?」
スタッフルームを覗いていた氷河は、背後から声をかけられて飛び上がった。
振り返ると、自分と同じ服を着た女性が立っている。
「あ、はい。沙織さんの紹介で。彼女が急に来られなくなって、一人で現場に行くようにと。」
「沙織さんって・・・、あの、ミス沙織?!」
「はい。」
グラード財団を束ねるあの女性が、こんな一施設の接客係を??
けれども、彼女には、妙にさばけた一面があると噂で聞いたことがある。
それに今は忙しい時間帯だ。同じ制服を着ていることだし、荷物持ちくらいのことはできるだろう。
「来なさい。」
そう言って、彼女は歩き出した。
(う、シュラの部屋が・・・。)
しかし、一人で手を拱いているより、いいのかのかもしれない。
氷河は、しばらく彼女につくことに決めた。
 
 
 
シュラと紫龍はトレーニングを早めに切り上げ、宿泊施設に引き返してきた。
紫龍は聖域の寄宿舎で泊まる予定だったが、今日はこちらで休むことにする。
施設そのものには、別段異常はないようだ。
フロント係は柔和な笑みを持って出迎え、スタッフはきびきびと自分たちの仕事に集中している。
「とりあえずシャワーを浴びて、レストランで食事をとろう。」
そう約束して各々の部屋へ。
エレベーターを降りると、紫龍は女性スタッフとすれ違った。
愛想よくお辞儀をする女性の後ろを、もう一人がワゴンを押してついてゆく。
その顔に、見覚えがあった。
(氷河!!)
呆気にとられる紫龍の横を、「彼女」はうつむいたままそそくさと歩いて行った。
後ろで一つに束ねた髪。
白い、襟足。
黒のタイトスカート。
パンプス。
後ろ姿を見つめながら、紫龍は呟いた。
「目を覚ませ。氷河・・・。」
 
 
 
紫龍がいた!
ということは、多分シュラも戻っている。
こうなってしまったら、もう仕方がない。
何が何でもライターを奪い取って、この場を去らなければ。
 
氷河はトイレと偽って、女性スタッフのそばを離れた。
そのまま、非常階段を駆け下りて、1階のシュラの部屋へ。
スタッフルームに入った際に、さりげなくくすねておいたスペアキーでドアをあけ、部屋の中へと滑り込む。
シュラの、姿はない。
ザーザーとシャワールームから音がする。
しめた!
サイドテーブルにライターを見つけて、慌てて走り寄る。
山羊座のマークの入った、使いこまれたライター。
これに、間違いない。
氷河がそれを掴んだ瞬間、その手は真上にねじあげられた。
しまった!!
シャワールームから出てきたシュラが、不機嫌そうにこちらを見下ろしている。
「あいつらに、何を吹き込まれた?」
「別に、吹き込まれてなど・・・。」
「正直に言えば、許してやる。」
「言うことなど、何もない。」
生意気だな。
デスマスクを警戒していたにも関わらず、シュラは思わずカチンときてしまった。
懲らしめてやる。
腕を掴んだまま、氷河を壁にドンと押し付けた。
蒼い瞳は、気丈にこちらを見上げている。
氷河でさえなければ、相当にいい女だ。
というか、本当に。
悔しそうに噛みしめられている赤い唇。
それくらい奪っても、罰は当たらないのではないかという思いが、ほんの一瞬頭をかすめる。
その瞬間、パシャッとフラッシュが光った。
 
やられた!!
 
シュラはバスローブをひっかけると、窓から飛び出して彼らを追った。
 
 
氷河は、へなへなと床に腰を下ろした。
手にはライターが握られている。
だが、任務は失敗。
何をやっているんだ、俺は。
 
そこにノックの音がして、紫龍が現れた。
「氷河・・・。」
 
窓が開いている。
どうやらシュラは、そこから外へ出たらしい。
幾分へこんだ表情の、氷河の横に腰を下ろす。
 
「お前は、一体何をしていたんだ?」
 
「潜入の、訓練だ。変装をしてホテルに忍び込み、シュラのライターをとってくるようにと。」
 
やれやれと、紫龍はため息をついた。
戦闘時にはそれなりに頭が働くのに、どうしてこんなことに騙されるのか。
 
「変装なんて、俺たちには関係のないことだろう? ライターをとってくるとか、そういうのも。俺たちは聖闘士だ。正面から、戦えばいいんだ。」
 
「だが・・・、迷惑をかけた。」
 
「ん?」
 
「アスガルドで・・・。調査に失敗して・・・。」
 
ごく、小さな声。
紫龍はふっと笑みを漏らして、氷河の頭を撫でた。
 
「馬鹿だな。それでも、俺たちは負けなかったろう。」
 
 
 
シュラが追いつくと、同期の二人は、息すらままならないという風に笑っていた。
「まさか、裸で襲いかかるとは思わなかったな。」
「おかげでいいもの撮れたぜ。」
「おい、いくらで買う??」
 
シュラは怒りにまかせてカメラを叩き斬ったが、SDカードはデスマスクの指先で踊っていた。
 
結局シュラは、写真のデータと引き換えに、二人に夕食をおごることになった。
にもかかわらず、それはカミュの知るところとなった。
 
「うちの氷河に余計なことを吹き込まないでいただきたい。」
 
立派な口実のできたカミュは、氷河を連れてシベリアへ帰ってしまった。
 
3人の私室がまるごとコフィられているのに気付いたのは、彼らがシベリアへと去った後だった。
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「これで外、歩くんですか?」
「君、瞬間移動とか、出来ないんだっけ?」
「ぐ・・・」と氷河は言葉に詰まる。
一輝などは割と簡単にこなすが、自分はまだうまくできないのだ。
「だったら仕方ないじゃないか。」
アフロディーテはそう言って、氷河を送り出した。
 
廊下に、デスマスクが立っている。
壁に寄りかかったまま、氷河を見るとぴゅーと口笛を吹いた。
「おい、堂々と歩け。」
「・・・はい。」
 
 
極力人目を避けながら、氷河はシュラが宿泊する施設を目指した。
人の気配がすると、走るのをやめる。
ごく自然にと自分に言い聞かせて、裏道を急ぐ。
道端にたむろする男たちが、デスマスクと同じようにいやな口笛を吹く。
目立たないように、目立たないように。
そう自分に言い聞かせながら、道中、かなりの男の腕を捩じりあげ、ようやく氷河は目的地に到着した。
 
 
 
「・・・どうも気になるな。」
汗を拭きながら、シュラは再び呟いた。
「デスマスクのことか?」
「奴が妙に楽しそうだったので、部屋に戻ったら案の定、隠しカメラが仕掛けてあった。まぁそれは破壊したからいいのだが、気になるのは氷河だな。馬鹿なことに巻き込まれていなければいいのだが。」
案の定、隠しカメラという言葉にひっかかりながら、紫龍は続きを促した。
「しかし、氷河だって相当な力をつけている。そう簡単には・・・。」
いや、シュラが気になるのは、氷河の身の安全ではない。氷河に何かあればカミュが出てくるということだ。
そしてその騒動に、自分が巻き込まれることだけは、何としても避けたい。
「紫龍、力を貸してくれるか。」
いざというとき、身の潔白を証明するために、シュラは紫龍と行動を共にすることにした。
 
 
 
シュラの部屋は、割と簡単に見つかった。
1階の角部屋。窓から覗いたら、布をかぶせた大きな箱があった。
硝子を割って入るのは造作もないことだが、そういう訳にもいかない。
裏口から侵入する。
さて、どうやって部屋の鍵を手に入れよう?
 
「貴方、新入り?」
スタッフルームを覗いていた氷河は、背後から声をかけられて飛び上がった。
振り返ると、自分と同じ服を着た女性が立っている。
「あ、はい。沙織さんの紹介で。彼女が急に来られなくなって、一人で現場に行くようにと。」
「沙織さんって・・・、あの、ミス沙織?!」
「はい。」
グラード財団を束ねるあの女性が、こんな一施設の接客係を??
けれども、彼女には、妙にさばけた一面があると噂で聞いたことがある。
それに今は忙しい時間帯だ。同じ制服を着ていることだし、荷物持ちくらいのことはできるだろう。
「来なさい。」
そう言って、彼女は歩き出した。
(う、シュラの部屋が・・・。)
しかし、一人で手を拱いているより、いいのかのかもしれない。
氷河は、しばらく彼女につくことに決めた。
 
 
 
シュラと紫龍はトレーニングを早めに切り上げ、宿泊施設に引き返してきた。
紫龍は聖域の寄宿舎で泊まる予定だったが、今日はこちらで休むことにする。
施設そのものには、別段異常はないようだ。
フロント係は柔和な笑みを持って出迎え、スタッフはきびきびと自分たちの仕事に集中している。
「とりあえずシャワーを浴びて、レストランで食事をとろう。」
そう約束して各々の部屋へ。
エレベーターを降りると、紫龍は女性スタッフとすれ違った。
愛想よくお辞儀をする女性の後ろを、もう一人がワゴンを押してついてゆく。
その顔に、見覚えがあった。
(氷河!!)
呆気にとられる紫龍の横を、「彼女」はうつむいたままそそくさと歩いて行った。
後ろで一つに束ねた髪。
白い、襟足。
黒のタイトスカート。
パンプス。
後ろ姿を見つめながら、紫龍は呟いた。
「目を覚ませ。氷河・・・。」
 
 
 
紫龍がいた!
ということは、多分シュラも戻っている。
こうなってしまったら、もう仕方がない。
何が何でもライターを奪い取って、この場を去らなければ。
 
氷河はトイレと偽って、女性スタッフのそばを離れた。
そのまま、非常階段を駆け下りて、1階のシュラの部屋へ。
スタッフルームに入った際に、さりげなくくすねておいたスペアキーでドアをあけ、部屋の中へと滑り込む。
シュラの、姿はない。
ザーザーとシャワールームから音がする。
しめた!
サイドテーブルにライターを見つけて、慌てて走り寄る。
山羊座のマークの入った、使いこまれたライター。
これに、間違いない。
氷河がそれを掴んだ瞬間、その手は真上にねじあげられた。
しまった!!
シャワールームから出てきたシュラが、不機嫌そうにこちらを見下ろしている。
「あいつらに、何を吹き込まれた?」
「別に、吹き込まれてなど・・・。」
「正直に言えば、許してやる。」
「言うことなど、何もない。」
生意気だな。
デスマスクを警戒していたにも関わらず、シュラは思わずカチンときてしまった。
懲らしめてやる。
腕を掴んだまま、氷河を壁にドンと押し付けた。
蒼い瞳は、気丈にこちらを見上げている。
氷河でさえなければ、相当にいい女だ。
というか、本当に。
悔しそうに噛みしめられている赤い唇。
それくらい奪っても、罰は当たらないのではないかという思いが、ほんの一瞬頭をかすめる。
その瞬間、パシャッとフラッシュが光った。
 
やられた!!
 
シュラはバスローブをひっかけると、窓から飛び出して彼らを追った。
 
 
氷河は、へなへなと床に腰を下ろした。
手にはライターが握られている。
だが、任務は失敗。
何をやっているんだ、俺は。
 
そこにノックの音がして、紫龍が現れた。
「氷河・・・。」
 
窓が開いている。
どうやらシュラは、そこから外へ出たらしい。
幾分へこんだ表情の、氷河の横に腰を下ろす。
 
「お前は、一体何をしていたんだ?」
 
「潜入の、訓練だ。変装をしてホテルに忍び込み、シュラのライターをとってくるようにと。」
 
やれやれと、紫龍はため息をついた。
戦闘時にはそれなりに頭が働くのに、どうしてこんなことに騙されるのか。
 
「変装なんて、俺たちには関係のないことだろう? ライターをとってくるとか、そういうのも。俺たちは聖闘士だ。正面から、戦えばいいんだ。」
 
「だが・・・、迷惑をかけた。」
 
「ん?」
 
「アスガルドで・・・。調査に失敗して・・・。」
 
ごく、小さな声。
紫龍はふっと笑みを漏らして、氷河の頭を撫でた。
 
「馬鹿だな。それでも、俺たちは負けなかったろう。」
 
 
 
シュラが追いつくと、同期の二人は、息すらままならないという風に笑っていた。
「まさか、裸で襲いかかるとは思わなかったな。」
「おかげでいいもの撮れたぜ。」
「おい、いくらで買う??」
 
シュラは怒りにまかせてカメラを叩き斬ったが、SDカードはデスマスクの指先で踊っていた。
 
結局シュラは、写真のデータと引き換えに、二人に夕食をおごることになった。
にもかかわらず、それはカミュの知るところとなった。
 
「うちの氷河に余計なことを吹き込まないでいただきたい。」
 
立派な口実のできたカミュは、氷河を連れてシベリアへ帰ってしまった。
 
3人の私室がまるごとコフィられているのに気付いたのは、彼らがシベリアへと去った後だった。
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