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うう~ん。
もうちょっと書き直したほうがよい気がしますが・・・。
先生が何故宝瓶宮をほったらかしていられるかというと、
双魚宮と魔羯宮に挟まれてるからです。
いや、だからこそ本当はいなきゃいけないのかもしれないけれど。
黒サガと白サガがせめぎ合って、結局先生は外回りを申し付けられることが多いということで・・・。
その辺の言い訳話を書いていたんですが、いかんせん、ちゃちいので切りました。
お話ちゃんとつながってるかな・・・。
でも書いてて思った。
先生、聖域では受けですね・・・?
もうちょっと書き直したほうがよい気がしますが・・・。
先生が何故宝瓶宮をほったらかしていられるかというと、
双魚宮と魔羯宮に挟まれてるからです。
いや、だからこそ本当はいなきゃいけないのかもしれないけれど。
黒サガと白サガがせめぎ合って、結局先生は外回りを申し付けられることが多いということで・・・。
その辺の言い訳話を書いていたんですが、いかんせん、ちゃちいので切りました。
お話ちゃんとつながってるかな・・・。
でも書いてて思った。
先生、聖域では受けですね・・・?
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島での傷が、だいぶ治ってきた。
この程度の傷、時間が経てば治ることくらい知ってる。
しかし氷河にとって不思議なのは、新しく傷が出来ていないということだ。
いつもならば。
傷口がふさがりかけたあたりで、新しくどこかに傷を負う。
だから絶えずどこかから血が流れていて。
それが当たり前のことだった。
ブラックドラゴンにつけられた左手の傷も、もうすぐ治る。
そうするとこの身体から、痛みが、消えてなくなる。
それはなんだか不思議なことで。
腕の内側のやわらかい肉を、自分で噛みついてやろうかと思う。
ドアをノックする音がした。
扉が開いてカミュが顔を覗かせる。
「買い出しに付き合わないか?」
氷河はまだパジャマのまま、ベッドの上に座っている。
「すこしは気晴らしに。どうだ?」
氷河は親指の爪を噛んだまま、カミュを見上げた。
町まで出れば、日本に行くことも出来るだろう。
わざわざ道を教えてくれるというのだから、ついてゆかない手はない。
氷河は立ち上がって、服を着替えた。
リビングに行くと、朝食はすでに用意されていた。
カミュも席に着き、共に食事をする。
「今日は町まで行ってみようと思う。少し遠いが、色々な物があるぞ。」
「・・・」
「好きな食べ物はあるのか? 嫌いな食べ物は?」
「・・・」
カミュはアイザックのコートを取り出した。
アイザックは任務でここをあけているが、どこを拠点として活動してゆくのかは定まっていない。そのため、まだシベリアに荷物が残っている。
アイザックと氷河は体つきがほとんど一緒だ。
そのことも自分が、氷河を気に掛ける理由の一つなのかもしれない。
とりあえずはこれを借りて、町でいくらか揃えてやろう。
差し出された靴に履きかえて、氷河は凍った大地を踏んだ。
雪は、さらさらと乾いている。
「雪は初めてか?」
カミュの問いには答えず、顔をしかめたまま、うつむいて歩いた。
晴れた日の雪景色には、ミロでさえはしゃぐのに。
「どれくらいかかるんだ。」
凍った雪の塊を、蹴とばしながら氷河が言った。
「5キロほど先に、村がある。そこでスノーモービルを借りて、さらに20キロというところか。」
今日のように晴れていれば、十分走って移動できる距離だと氷河は考えた。
カミュが村人の家を訪ねるのを、氷河は遠巻きに眺めていた。
村人は丁寧に頭を下げると、ガレージからスノーモービルを運んできた。
子供が駆け寄ってきて、カミュにへばりつく。
男が恐縮して子供を離そうとすると、カミュはしゃがんで子供の頭を撫でた。
どこで剥がれ落ちるんだろう。
この景色は。
やがてカミュがこちらへ戻ってきた。
後部座席に乗るよう示すと、自分も運転席に跨る。
「しっかりつかまっていなさい。」
氷河は睨んだまま、カミュの腰に腕を回した。
町には本当に色々な物があった。
凍ったままの大きな肉や魚。
野菜、果物、缶詰、水、花・・・。
懐かしい言葉が聞こえてくる。
客に呼びかける威勢のいい声や、通りすがりの人たちの何気ない会話。
それらは皆、幼い頃に使っていた、あの懐かしい言語でなされていた。
「まずはここだな。」
カミュは洋品店を指差すと、氷河の手をひいた。
「ずっと部屋に籠っているわけにもいかないだろう。お前の服と靴を買う。」
氷河は怪訝そうな顔をしてカミュを見上げた。
何故、あんたがそこまでするんだ。
氷河の思考は、しかし聞こえてきた女店主の声で止まった。
「いらっしゃい。あら、新しいお弟子さんかしら。」
カミュは笑顔を浮かべて、同じ言葉で答える。
「ああ、後輩かな。彼の服と靴を買いたいのだが・・・。」
色艶のいい丸い顔をした女は、氷河の背格好を眺めてから店の奥へと入って行った。
「コートは、これとこれの2種類だね。少し重たいかもしれないけど、暖かさは保証するわ。」
ボタンをはずして、試着を促す。
氷河は一瞬戸惑ったが、着ていたコートを脱いで、それを羽織った。
鏡の前に立つと、女は肩や背を撫でるようにして体に合っているかどうかを確かめた。
「うん、サイズは合っているようだねぇ。暖かいでしょう。重たくはないかい?」
通訳しようと口を開きかけて、カミュは黙った。
氷河が小さく頭を縦に振って頷いたからだった。
瞳が、不安そうに揺れている。
身を護る術を奪われてしまったように。
「もうひとつも着てみるといいわ。」
女はコートを脱がして、もう一枚を差し出した。
差し出されたコートに、腕を入れる。
「こっちも、いいでしょう。少しゆったりとしているから、動きやすいかもしれないわね。」
氷河は、肘を曲げてみる。
確かにこちらの方が、身体は動かしやすい。
「こっちにします?」
女が尋ねると、氷河はカミュを振り返った。
「こちらがいいようだ。」
ヒョウガという名前の響きが聞き慣れぬものだったから、まさか思いつきもしなかった。
しかしよく見れば、彼の顔立ちはロシア人に近い。
もし彼がこの地にゆかりあるものならば、そこに帰してやるのが一番だろう。
もしいなかったとしても、ここでなら多少の顔はきく。
暗黒聖闘士を封じる仮面の捜索などともっともらしい理由を聖域には申し出ているが、自分がここに留まるのももはや限界に近い。
彼がロシア語を解するというのは、カミュには僥倖のように思われた。
いや、この地に所縁のある自分が彼と出会ったのも運命だったのかもしれない。
服と靴だけでも、かなりかさばる。
加えて食糧。
それらを無理やり荷台に括り付けた。
氷河は黙ったまま、カミュが荷物を整えるのを眺めていた。
懐かしい言葉が、心の奥底のやわらかい部分を刺激する。
思いきり泣いてしまったらすっきりするだろうな。
後部座席に跨り目を閉じる。
やがてエンジンをかける音がして、風が想いを吹き飛ばしてくれた。
スノーモービルを返し、荷物を両手で抱えて凍った道をゆく。
「どうして服なんて買ってくれたんだ?」
小さな声で、ふてくされたように氷河はそう言った。
「飯にしてもそうだ。あんたが俺に、ここまでする義理はない。」
繊細そうな横顔を見やって、カミュはわずかに唇をゆるめた。
「・・・本来は、こうあるべきだったと私は思う。こういう風にして君は育つべきだった。愛情を知らなければ、地上を護ることなどできない。聖闘士として、君が間違った教えを受けたことに責任を感じてもいる。」
「・・・間違ったっていうのか?」
「憎しみを、戦いの糧にするというのは、間違っている。誰かを殺すために力を使うというのも間違っている。我らは女神の聖闘士だ。」
「女神?」
疑うような声で、氷河は聞き返した。
カミュは胸の内で嘆息する。女神の存在すら知らされぬまま、聖闘士の修行を受けてきたというのか・・・。
「地上を護って下さる方だ。我らは女神に仕え、共に地上を護る。」
「・・・護る価値など、あるとは思えない。そんなものを護る神などたかが知れている。」
「・・・それはこれから、ゆっくりと考えてみればいい。」
「あいつは・・・なんだったんだ?」
小さな氷の塊を蹴とばしながら、氷河が呟くように言った。
「あいつ?」
「俺を引き取って指導した男だ。憎しみがすべてだと俺に教えた。・・・確かに俺は強くなったが、あんたはそれを間違いだという。」
「彼は、聖闘士だったのか?」
「知らない。聖衣を纏ったところは見たことない。いつも仮面をしていた。名前も、顔も知らない。」
「仮面・・・?・・・それについて、何か聞いているか?」
「何も。」
しかしそれこそが、探していた仮面なのではないか。暗黒聖闘士を封じる仮面。それが何らかの理由によって効力を失い、今回の件に至ったのではないか。
「氷河、彼は今どこにいる?」
「殺した。それが出来たら聖衣を与えると。」
「仮面は?」
「あいつが死ぬのと一緒に、壊れて消えた。」
カミュは漏れそうになる言葉を飲んだ。
その男には、仮面を護る何らかの任があったはずだ。
彼の死と同時に仮面が消えたということは、彼と仮面には何か特別なつながりがあったということだ。
それは当然本人も自覚していたはず。
それなのに、氷河に憎しみを植え付け、自らを殺させたのは何故か。
己の定めに倦んだか。
己を破壊させる為に、氷河を育てたのか。
悪を解き放ち、世界を憎しみに染めるために?
だが、残された少年は、人の心を失ってはいない。
残念か?
それとも、心のどこかではそうあることを願っていたのか?
ふと、氷河が足を止めた。
カミュが振り返ると、いぶかしげにじっとこちらを見ている。
「彼も、何かを求めていたのかもしれないな。そんな気がする。氷河、憎しみに染まらぬことが、勝つことだ。勝つことだし、救うことかもしれない。」
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翌朝は、晴れた。
太陽の光が雪に反射して、窓からも強い光が差し込んでくる。
雪を撫でてきた朝の風がどんなものか。
氷河にはわかる。
きしきしと、白い雪を踏んで歩く足の記憶。
夢を見た。
ずい分と昔の夢だ。
多分、人の体温を感じながら眠ったせいだ。
夢の中に母が現れて、雪の間から覗いた花を見つけて慈しむような笑みを浮かべた。
氷河はベッドに転がったまま、部屋に満ちた光をぼんやりと眺めた。
昨夜のカミュの言葉が蘇る。
「傷を治すことだ。私たちがすべきことは。今はそれだけを考えよう。」
何故、私たちと言うのか。
今はと言ったのは何故だ。
部屋を出ると、リビングにカミュの姿はなかった。
テーブルの上に置手紙がある。
「夕刻までには戻る。食事は台所に用意してある。」
氷河は台所に行き、鍋の中を覗いた。
肉の入ったシチュー。
途端に空腹に襲われる。
パンをちぎっては、シチューにつけて食べた。
時計の針は11時を過ぎている。
朝食兼昼食。
シチューを二度おかわりし、大きくて丸い黒パンをあらかた一人で食べてしまった。
とりあえず、飯がうまいことだけは確かだ。
満腹になった氷河は、暖炉の前にその身を投げ出した。
暖炉の火は、母を思い出させる。
それがほんの少し優しく煌めいたかと思うと、竹刀の音と怒号に消えた。
粗末な服を着て、それでも何か生きる意味があるかのように思っている子供たち。
それはぞろぞろと、バスの中へと詰め込まれていった。
氷河は立ちあがって、ドアを眺めた。
分厚いが粗末なそのドアに、鍵はついていなかった。
出て行くなら、今だ。
氷河は雪の気配に覚悟を固めた。
ドアを開けると、一気に冷たい空気が入り込んでくる。
光が反射して外は眩しいくらいなのに、息すらままならないほど寒い。
それでも数歩足を踏み出してみる。
一面、氷。
北国の暮らしは知っている筈だった。
しかしそれは氷河の記憶にある景色とはだいぶ違った。
360度どこを見渡しても、他に建物が見当たらない。
遠景を遮るように立っているのもまた、氷の壁だ。
「なんなんだ、ここ・・・。」
氷河は呆気にとられて、ため息をついた。
その息がまつげにかかって、みるみる凍り付く。
「くそっ!」
氷河は小屋に駆け戻り、ドアを固く閉め、暖炉の前で手をすり合わせた。
弟子を育てていた場所だとあいつは言った。
やはり聖闘士というのはみな、こんなろくでもないところで育つものなのか。
デスクイーン島の籤をひいたとき、周りの人間は皆息を飲んだ。
憐みの視線と自分が行かなくて済んだという安堵感が、ざわざわと氷河を取り囲んだ。
しかし・・・、ここだって相当なものだ。
あのうちの誰かが、この場所も籤で引き当てたのだろうか。
シベリアを誰かが引いた記憶はない。
あれば多分、気に留めた筈だから。
しかしこの地であいつの指導を受け、聖闘士になった奴がいる。
いつの間にか眠ってしまったらしい。
氷河は起き上がって、あたりを見回した。
カミュはまだ帰っていない。
することもないので、小屋の中をうろうろしてみる。
と言っても台所と居間の他は、カミュの部屋と、借りている氷河の部屋だけだ。
氷河の部屋は、多分弟子だった奴が使っていた部屋だ。
クローゼットには、まだいくらかの服が残されている。知っている奴だろうかと、名前を探したが、どこにもそれは残されていなかった。
カミュの部屋に行く。
起きてそのままだった布団が妙にだらしなく見えて、氷河はそれを直した。
ベッドに机、本棚。
質素な部屋だが、こんな風に並べられた本を、氷河は初めて見た。
タイトルだけ眺めても、何のことだかさっぱりわからない。
そのうちの一冊を手に取ってみる。
パラパラと頁をめくると、ところどころにひかれた線と、書き込まれた青いインクの文字が目に入った。
あの男が、そうやって本を読む姿が目に浮かぶ。
ここは地獄だろうか。
だとしたらどんな?
とりあえず、飯はうまい。
一人で夕食をとりながら、氷河はもう一度考えた。
これだけ比べれば、確かに島とは天国と地獄というくらいの差がある。
シチューを頬張りながら、氷河は置手紙を手に取って、もう一度その文字を眺めた。
「夕刻までには戻る。」
時刻は8時をまわっている。
聖衣がない。
ということは、あれを着てどこかで戦っているのだろうか。
あいつより、もっと強い奴というのもいるのだろうか。
あいつより、卑劣な奴はきっとたくさんいるだろう。
食べ終わった皿を台所に運び、なんとなくカミュの真面目そうな瞳を思い出した。
それで仕方なく、洗って棚に戻した。
戦ったら、あいつでも怪我をすることがあるんだろうか。
その場を動けなくなるような怪我。
命を落とすような怪我。
てのひらの熱を思い出す。
帰ってきてほしい、と思った。
もう一度顔を見ないと落ち着かない。
あれは一体どういう奴なんだ。
その正体を突き止めるまでは。
ドアを開けてみると、外は真っ暗だった。
生き物の気配はない。
凍てついた空に、星だけが恐ろしいほど輝いていた。
任務を終えてカミュが帰ったのは、0時を過ぎた頃だった。
予定より、ずいぶんとかかってしまったな。
家の前でマントを外して砂塵を落とした。
それと同時に、張りつめていた気持ちが解ける。
ドアをあけると、何かが目に入った。
毛布にくるまって、壁に凭れたまま氷河が眠っている。
なんでまた、こんなところで・・・。
寝室に運んでやろうと肩と膝の後ろに腕を差し入れると、蒼い瞳がうっすらと開いて笑った。
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