忍者ブログ
☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


前回、14歳そろい踏みだなんて予告しておきながら、なかなかアップできなくてすみませんでした。
あの時はさっくりあげられる気がしていたのです。

でもやっぱり先生が出てくると、どうしたってアイザックに触れないわけにいかなくて。
どうしよう、どうしようと四苦八苦。

で、カミュ視点で経過を書いてみました。

今更ですけれど、先生の場合は、記憶があって体が14歳の方が、色々おいしいような気がします。

拍手[10回]

PR


テロメア妄想 3.5 



報告書を書きながら、居眠りをしてしまったようだとカミュは思った。
温かくも、寒くもない部屋。
机から身を起こして思う。
弟子たちはどこだ、と。
 
しかし部屋は、静まり返ったまま。
窓から差し込むオレンジ色の光が、やけに眩しい。
そもそも、目に入ってくる風景が違う。
家具も、配置も、天井の高さも、窓も、何もかも。
見覚えはある。
そう、そうだ。ここは、聖域―。
 
シベリアで弟子達を育成している自分が、何故ここにいるのか?
弟子たちはシベリアにいるのだろうか?
だとしたら、まだ幼いあの子たちを、誰が世話しているのか?
机上にある書きかけの報告書には、身に覚えのない職務内容が記されている。
 
カミュは立ち上がった。
その体に、服が絡みつく。
どうやら自分は、かなり大きなサイズの服を着ているらしい。
襟はぶかぶかで、袖は長い。
カミュはイライラしながら袖をめくりあげた。
自分の身に、何か起こっている。
一刻も早く状況を確認しなければ。
自分の身に何かあれば、弟子たちの命に関わるのだ。
 
教皇の間に向かう。
ここに至る経緯を思い出せぬ以上、判断を教皇に仰ぐべきだ。
ベルトで締め上げたズボンがずり落ちてくるのを押さえながら、カミュは階段を駆け上った。
 
「失礼する。」
双魚宮に足を踏み入れると、見慣れぬ人物が立っていた。
「あはは、かわいくなっちゃって。」
男か女かはわからぬが、アフロディーテによく似た人物は、至極のんきに笑みを浮かべた。
「服、貸してあげようか。氷河にあげようと思っていたのがあるからな。サイズは合うはずだ。」
「氷河?!」
カミュは思わず叫んだ。
「・・・この頃から、こんななのか。まぁいい、着替えてからサガに状況を説明してもらおう。」
「氷河は無事なのか?!」
「ん?・・・ああそうか、氷河も子供だと思っているのか。大丈夫、彼は無事だ。今日あたり、聖域に来るときいていたけどな。」
氷河も子供だと思っている? 私が? 聖域に来る? あの子が? 一人で?
ますます混乱するカミュに、アフロディーテは紙袋を手渡した。
「とりあえず、そのだらしない格好を改めなさい。」
 
妙にひらひらとした白のシャツにピッタリとした紺のスラックス。
一体氷河にこれをあげるとはどういうことなのか?
8歳のあの子が、この服を着られるとも思えない。
そもそも双魚宮の人間が、何故うちの氷河に服を贈るのか。
苛立つ理由がなんなのかもわからぬまま、カミュは服を身に着けた。
 
余計な布をたっぷりと使った、非経済的な服。
こんなものを着るのは初めてだ。
「よく似合ってる。」
カミュは憮然として、アフロディーテ似の大人を見上げた。
 
 
「サガ!?」
そう言えばさっき、双魚宮でもその名を聞いた。
行方不明になってしまったはずのあの人が、聖域に戻っている。
しかもいるのは教皇の間。
ちょっと老け込んだような気はするが、色々と苦労があったのだろう。
「聖域に、戻っていらしたのですね。」
カミュがそう言うと、サガは少し苦しそうに顔をゆがめた。
「カミュ、手短に状況を説明する。クロノス神の仕業で、君は体内時計を狂わされたのだ。
本来の君は20歳。弟子を育て上げ、今は聖域を護っている。」
目を見開いたまま固まっているカミュをみつめ、サガはため息をついた。
「驚くのも無理はない。その様子だと、過去の記憶は残っているようだな。君の記憶はどこまである?」
「私は・・・14歳だ。教皇の命を受け、シベリアで弟子を育成している。アイザックの指導にあたって1年半、氷河とは半年の付き合いになる。あの子たちをシベリアに置いたまま、気が付けばここに・・・。あの子たちは無事だろうか? いや、私だけが子供で、彼らはもう、一人立ちしたのか・・・。」
混乱するカミュは、赤い唇に親指を押し当て、爪を噛んだ。
「24時間で元に戻る。一時、わけのわからない思いをするかもしれないが安心してほしい。君の身体は問題なくもとに戻る筈だし、氷河も無事だ。」
「氷河・・・。」
とカミュは呟く。
誰の口からも、アイザックの名前が出ない。
「わかる範囲でいい、もう少しくわしく状況を説明して貰えないだろうか。」
付き添ってくれた双魚宮の人が、紅茶を淹れてくれた。
かすかな、薔薇の香り。
「ああ、アフロディーテ!!」
「そうさ、サガはわかって、何故私がわからない?」
「いや、似ているとは思ったのだが・・・。まさかその年になっているとは思わなくて・・・。」
「そのとし?」
アフロディーテは、カミュの絹のような髪をくしゃりとかき混ぜた。
「いいか、君が、子供になっているんだっ!!」
それだけ言うと、アフロディーテは部屋を後にした。
 
紅茶を一口飲んでから、サガは口を開いた。
「君の知る現在から、6年の時が経っている。その間に大きな戦いがいくつかあった。
君は、氷河を、白鳥座の聖闘士として育て上げ、自らも女神のために戦った。聖戦は女神が勝利をおさめ、今は比較的落ち着いている。クロノス神がこうして、時折いたずらを仕掛けてくるのだが、女神のお力により大きな争いには至っていない。」
「ふう・・・」とカミュはため息をついた。
「聖戦を終えて、私も、貴方も、生きている・・・。」
「色々あったのだがな。今、十二宮で守護者が不在なのは、人馬宮だけだ。」
「アイオロスの・・・。」
「彼は正しかった。すべての過ちは、この私だ。」
そう言うとサガの顔は苦渋で歪んだ。
「氷河が、白鳥座の聖闘士になったと・・・。」
「ああ、ゆくゆくは水瓶座を継ぐだろうな。」
「アイザックというもう一人の弟子について、なにか御存じでは?」
「・・・・・・彼は、海界に行った。」
「?!」
「・・・今はその、復興にあたっている。」
 
聖戦の、後の世。
白鳥座の聖闘士の座は、氷河が獲得した・・・。
しかしアイザックも、それなりに自立している様子。
 
張りつめていた気持ちが、緩んでしまいそうになる。
これは、夢なのだろうか。だとしたら、この世界に、溺れてはいけない。
 
「あと、これはお願いなのだが、もとに戻るまで十二宮から出ないでもらいたい。聖闘士達は事情を知っているが、あまり混乱を招きたくない。戻るときは、予告なくふいに戻るようなので、人前でもとの身体に戻っては、君自身が恥をかくことになる。」
「はい。」
「本でも貸そうか?」
「いえ、部屋にあるもので足りるかと。」
 
カミュが教皇の間を後にしてから、サガはため息をついた。
「ミロだけでなく、カミュまでも・・・。まぁ、カミュの方は大丈夫そうだが、ミロは一体どこへ行ったんだ!!」
 
 
 
カミュは自室に戻って、ぼんやりとソファに身を預けた。
知りたいことは、山のようにある。
しかし、明日元に戻ればすべてがわかる筈なのだ。
どちらが夢なのかわからない。
むしろ明日、目を覚ましたら、自分はシベリアのあの家にいる気がする。
だが・・・。 
 
今日あたり、氷河がくる・・・と、言っていたな。
それに他の黄金聖闘士達も、生きていると。
 
不覚にもクロノス神に姿を変えられた自分を、人目にさらしたいとは思わない。
しかし見てみたい。
成長した氷河。
それに・・・。
 
カミュは立ち上がり、天蠍宮を目指した。
 
 
「な? もどってるだろ?」
磨羯宮で、再びアフロディーテに会った。
「ああ」とだけ言って、シュラは言葉を失っている。
「相変わらず、生意気な面してんなァ。」
自分を見るために上がってきたわけでもないのだろうが、蟹座のデスマスクもそこにいた。
「お茶でも飲んでいくかい?」
「いや、下に行ってみる。」
 
天蠍宮は不在だった。
私室のドアに、鍵はかかっていない。
遠慮なくドアを開けると、脱ぎ散らされた洋服があった。
しかしそれ以外は、割ときれいに片付いている。
サイドボードには、グラスと数種類の酒。
 
あいつが酒をな・・・。
そう思うと、急におかしくなって、カミュははじめて笑みをこぼした。
ミロになら色々聞けると思ったのに、肝心な時にいないなんて、使えん奴だ。
 
引き返してまた、デスマスクたちに何か言われるのも悔しい。
しばしミロの部屋でぼんやりしたのち、カミュは立ち上がった。
誰かに聞けば、ミロの予定もわかるかもしれない。
 
天秤宮は不在。
処女宮にはシャカ。
同期との再会は、それはそれで嬉しいものがある。
シャカは、あまり変わっていない。
昔から大人びたところがあったし、一方で無垢な子供のようなところもあった。
無論容姿は多少変化したが、シャカはシャカであった。
「なんだ、君まで変わってしまったのか。」
座禅をしたまま、シャカは口を開いた。
「私まで・・・とは?」
「さっき、君と同じくらいの年ごろに戻ったミロが、階段を駆け下りて行った。」
あいつもか・・・とカミュは額を押さえた。
奴の口から話を聞きたかった。
大人になった姿も、見てみたかったのに。
でも。
会いたいという気持ちは変わらない。
カミュは処女宮を後にした。
 
 
結局、白羊宮まで来ても、ミロの姿はなかった。
十二宮から出るなという言いつけを破って、どこかに出かけてしまったらしい。あいつらしいと言えばそれまでだが、つまらん。
カミュは白羊宮前の階段にぼんやりと腰を下ろした。
 
「どうぞ。」
ムウが、お茶を差し出してくれた。
もう、しばらく会っていなかったムウ。
それが突然、青年となって目の前に立っている。
「どうです? 今の聖域は。」
ムウは正面を見つめたまま、カミュに尋ねた。
「わからない。聖戦に勝利し、皆が生きている。貴方も、サガも聖域に戻っている。自分に都合の良い、夢を見ているようだ。」
「フ・・・」とムウはほほ笑んだ。
「確かにそうですね。私だって、時折、夢ではないかと思うことがあります。けれどもこれは、我々が勝ち取った未来です。多くの血が流れましたが、それだけの価値はあった。・・・貴方の弟子は、ほんとうによく頑張りましたよ。」
「それが、よくわからんのだ。あの泣き虫が。」
「ああ、それは、あんまり変わっていないかもしれませんね。」
ムウはおかしそうに、くつくつと笑った。
 
「あ、あれ。」
見ると夕日に照らされながら、駆けてくる二人の少年の姿があった。
金色の巻き毛をなびかせているのはミロ。
そのやや後ろ、息を弾ませて追いかけているのは・・・。


追記を閉じる▲

まだまだ蠍座月間ということで。

前回はカミュ先生だんまりバージョンと言っていたのに、こっちは仲良しです。

カミュ・ミロなのかミロ・カミュなのかは永遠の謎。

最近師弟の文字が、師×弟に見えてきました。


拍手[12回]



テロメア妄想 その3


聖域に向かって歩いていた氷河は、ふと視線を感じて振り返った。
振り返った先には、少年が一人。
自分と同じくらいの年恰好の少年が、こちらを見てニコニコと笑っている。
くるくると巻いたハニーブロンド。
角度によって色を変える紫の瞳。
氷河はもう驚かなかった。
ここにいるのがミロによく似た少年ではなく、少年に戻ったミロだということに。
 
「ミロ・・・ですよね?」
思わず敬語で話しかけると、少年はキラキラと輝く瞳を大きく見開いた。
「何で知ってるんだ? 俺の名前? もしかして、大人になった俺の知り合いか?」
そう言うところをみれば、状況は把握しているらしい。
身に着けている服もちゃんとサイズが合っている。
「へぇ~、どんな関係だ? 君も聖闘士?」
「はい」
頷くとミロは嬉しそうに笑った。
「遊び相手がいなくって退屈してたんだ。行こう!」
そう言ってミロは氷河の腕を掴むと、聖域とは逆の方向へと走り出した。
「ちょっと待って下さいっ! いいんですか? 聖域にいなくって。俺だってまだ・・・」
カミュに挨拶もしていない。
そう言おうとしたが、ミロの足はおそろしく速い。
氷河の手を引っ張ったまま、ほぼ光速に近い走り方をしている。
一般人の気配がしてきたところで、ようやく足を止めると振り返った。
「今は聖戦の後なんだろう? だったら少しくらい外を見てきたっていい筈なんだ。ずぅぅぅぅっっっっと思ってたんだよ。聖域の外には何があるかって。」
その言葉に思わずはっとする。カミュと同じく幼い頃に才能をみいだされ、黄金聖闘士となったミロには、子供時代なんてなかったのではないかと。
だとしたら少しくらい、その願いをかなえてあげたっていいのではないか。
「わかった。つきあう。でもサガには一緒に怒られて下さいね。」
「ああ、サガ! サガ! サガが戻ってきてるんだもんなぁ。いいぞ、いくらだって怒られてやるよ。」
ミロはつくづく幸せそうな顔をして、満足げにニカリと笑った。
 
 
アイスクリームを買う。
ミロがあんまり食べたそうにしているので、氷河がおごることに決めたのだ。
「じゃあ…俺、この水色のにしてみるわ。」
「チョコミントですけど・・・大丈夫ですか?」
「わかんないけど、一番わからないから食べてみる。」
その理屈がミロらしくて、氷河は思わず噴き出した。
「あとでいやだって言っても、知りませんからね。」
店のおばちゃんは、コーンにアイスをのせながらニコニコして訊いた。
「お兄ちゃんたち、兄弟かい?」
「似てますか?」
「う~ん、似てるよねぇ。」
顔立ちは、そう、よく見れば違う。
一人は芯の強そうなはっきりとした顔立ち。
もう一人もやはり気の強そうな瞳をしているが、どこか儚げな印象もある。
しかしいずれの少年も美しく、天使が連れだって歩いているようなのだ。
「はい、どうぞ。」
二人は嬉しそうにアイスを受け取ると、人ごみの中を歩いて行った。
 
「うわっ、これちょっと、スース―する。」
「だから言ったでしょう。」
「君・・・」
「あ、氷河です。」
「ヒョウガのはどんな味だ?」
言うが早いかミロは、氷河の手にしていたクッキー&バニラにぱくりと食いつく。
「あ~、俺もこっちにすればよかった。・・・・・・・・・っていうかさ。」
ミロはアイスを手にしたまま、じろじろと氷河を眺めた。
そうして「ま、いっか。」と笑った。
再びチョコミントに口をつける。
「うん・・・チョコを意識して食べるとうまいな。」
「そういうもんですか?」
 
その後も二人はぶらぶらと街を歩いた。
帽子屋さんで互いに帽子をかぶってみたり、洋品店の店先で安いサングラスを試してみたり。こんな風にはしゃいで街を歩くのは、氷河にとってもほとんど初めての体験だった。
 
やがて、商店街を通り過ぎる。
あたりは静かになって、どこかから夕食の支度をする匂いがしてきた。
「そろそろ帰らねば。夕食をぬかれるな。」
夕日に照らされながら、ミロは神妙な顔をした。
元来た道を、二人で引き返す。そろそろ片付け始める店もあり、なんとなく淋しい気分になる。
「見ろよ、あの太陽。あの紅い色は、カミュみたいだろう。」
「ええ」
と言ってから、氷河はまじまじとミロの顔を見た。
「すっっっっっごい会いたかったのに、今日に限って任務なんだと。あいつがシベリアに行ってから、ぜんっぜん、会ってない。手紙には、弟子のことしか書いてない。」
そう言うとミロは、人差し指で氷河のおでこをつんとつついた。
「俺は、聞いてましたけど。ギリシャにいる、強くて面白い友達のこと。」
氷河が首をかしげるようにしてミロをみつめると、ミロは照れたように頬を膨らませた。
「面白いって何だ!」
 
聖域が見えてきた。
白くそびえるその建物は、夕日の中荘厳な輝きを放っている。
「大丈夫。サガはコワイが、本当は優しい人間だ。謝ればきっと、メシ抜きなんてことはしないはず・・・。」
と、二人の前に人影が現れた。
夕日を受けて、さらに燃え立つような紅い髪をした少年が。
 
「カミュ!!」
 
二人は同時に叫んだが、抱きつくのはミロの方が早かった。


追記を閉じる▲