忍者ブログ
☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


以前コメントを下さったるい様に、テロメアの続きを・・・と言っていただいたので書いてみました。

前々から気になっていたことを、カミュご本人に突っ込んでいただいた次第です。

なんだかちょっと生ぬるいですが、大丈夫でしょうか???

拍手[14回]

PR



テロメア妄想5



「とりあえず、食事にしましょうか。」
そう言って氷河は止めていたガスの火をつけ、パスタを茹でるためのお湯を沸かしなおした。
「サラダでも作ろうか。」
冷蔵庫を覗いたカミュがそう言って、二人は並んで夕食を用意した。
 
「いただきます。」
テーブルに、向かい合って座る。
懐かしい。
カミュの姿だけ見ていると、氷河は自分が8歳の子供に戻ったような気がする。
カミュは背筋を伸ばしたまま、きれいな手つきでパスタをフォークに絡め取って口に運んだ。
「うむ。おいしい。」
「本当ですか?!」
カミュのために食事を用意するのは初めてではないが、何だか修行中に褒められたときのように嬉しい。
氷河の顔が、子供の頃のように輝くのを見て、カミュはカミュで、心の中がじんわりとあたたかくなるのを感じた。
 
「氷河、お前、オーロラエクスキューションを使えるようになったのか?」
サガの言葉を思い出して、カミュはふと尋ねた。
「ええ、先生が、導いてくださったおかげです。」
氷河は驚くこともせずに、静かに目を伏せながら言った。
6年・・・、それはこんなにも弟子を変えるものなのか。
カミュの知っている氷河は、まだ凍気すら発することが出来ない。
「でも。」
「なんだ?」
「フリージングコフィンの方は、まだちょっと完璧ではないというか・・・。」
氷河は言いにくそうに、やや顔をしかめながら言った。
「フリージングコフィン??」
何だそれはという風に首をかしげるカミュの姿に、驚いたのは氷河の方だった。
「え、あの、先生の技ですよ???」
「私の・・・? 直訳すれば氷の棺ということか・・・。」
それで俺は2度も大変目に!!とは氷河は言い出せなかった。
「あの、あのですね。絶対零度に限りなく近い凍気で作った氷で、敵を閉じ込めるんです。」
「仕留めた相手を、わざわざ??」
「ええ、何があっても溶けない、黄金聖闘士数人の力をもってしても壊れない氷の棺です。」
「倒したのに閉じ込めても仕方ないだろう。だいいちその氷、あとで邪魔じゃないのか?」
「え、ええ、まぁ・・・。」
「それだけの氷を作り上げるには、時間もかかる。だとしたら、より凍気を高めてダイヤモンドダストやオーロラエクスキューションを放ち、確実に相手を倒す方が戦闘では効果的だ。」
「はぁ、まぁ・・・。あの、俺はハーデス軍と戦ったときに、敵を足止めするために、それを変形して壁を作ったんです。けれども、敵に壊されてしまって・・・。」
「ああ、まぁ、壁というなら使いようはあるか。」
「あるいは、その、相手を仮死状態にして、幾星霜の後に蘇らせる・・・みたいな??」
「何のためにだ?!」
真顔で問い返すカミュの目を直視できずに、氷河はうつむいてパスタをフォークに絡めた。
「しかし・・・、私の技なのだな。師から教わった記憶もないから、私が考えたんだろう。なにか、そうする必要があると思ったのだろうが、おかしな技だ。」
「・・・どれくらい、考えたんでしょう。」
「ん?」
「その技を思いつくまでに。」
「さぁ、どうだろうな。技術的には簡単なことだが、考えたのはそれを、戦闘で用いるかどうかということではないのか?」
氷河の手が、ふっと止まる。
零れ落ちてきた涙を、手の甲でごしごしとぬぐった。
「いけませんね。今日は泣いてばっかりだ。」
「いつものことだろう。」
「違いますよ!!・・・その・・・子供のときとは違うんですから!!」
カミュは、フッと笑みをこぼした。
この世のものとも思われぬ、紅く、美しい瞳・・・。
氷河は思わず、その瞳に吸い込まれそうになる。
 
 
「パジャマ、ここに置いておきますね。下着は・・・一応新しいのがありましたから、これを。」
宝瓶宮の私室には、氷河の服もいくらか置いてある。
それに気づいていれば、アフロディーテのひらひら服を着る必要もなかったのだ。
そう思いながら、カミュは浴室に向かった。
 
食器を片づけながら、氷河はぼんやりとする。
色々なことが、ぐるぐると頭の中をめぐって、まとまりがつかない。
闘いのことを思い出せば涙がこぼれるし、少年らしいカミュの仕草を思い出すと笑みがこぼれる。
そうしてどこか繊細なカミュの白い指と、記憶にあるよりもずっと細い、カミュの肩を思い出す。
 
あれ? 今、俺、何考えた・・・?
 
氷河はふるふると頭を振って、意味もなく台所のシンクを磨いた。
「先に、すまなかったな。」
振り返るとカミュが、氷河の紺色のパジャマを着て立っている。
ゆったりとした襟から覗く肌は、温まってほの赤く染まっている。
「あ、いえ・・・」
氷河はぎこちなく、首をもとの向きに直すと、再びごしごしとシンクを磨いた。
「そんなのはいいから、湯が冷めないうちに、お前も入りなさい。」
濡れた髪をタオルでくるんだまま、のんきそうにカミュが背後から覗き込む。
ほかほかとあたたかな、湯上りの体温が伝わってくる。
「はいっ。」
氷河は着替えを持って、逃げるように浴室に向かった。
 
 
 
浴室から戻ると、カミュはもとの姿に戻っていた。
ホッとしたような、淋しいような、複雑な気分である。
カミュは氷河の顔を見ると、はっと息を飲んで、目を泳がせた。
ついで指を額にあてるようにして顔を隠すが、耳はふたつとも真っ赤だ。
こんな風に狼狽する師の姿を、氷河は初めて見た。
ボタンのはじけてしまった氷河のパジャマを引き寄せて、カミュが口を開く。
「もしや、クロノスの・・・」
「ええ、さっきまで俺と同じ14歳でした。」
深く深くため息をつくカミュを見て、氷河は笑みをこぼした。
 
 


追記を閉じる▲

大変お待たせいたしました。
四苦八苦した、テロメア妄想の続きがこちらです。

う~ん、どうかしら・・・。


拍手[13回]



テロメア妄想4



「カ、カミュまで子供になっちゃったんですか?!」

 
聖域の入り口に佇むカミュの元へ走り寄った氷河は、思わずそう叫んでいた。
14歳の自分が子供かと問われれば、違うと即座に答えるだろう。
しかし成人した二人の姿を知っているだけに、思わず子供と口走ってしまった氷河である。
カミュは不快そうに眉根を寄せて言った。
「子供とは何だ。お前だって同じくらいの年齢だろう。」
がっつりとカミュの肩に腕を回していたミロが、もう片方の手で空いている肩をポンポンと叩いた。
「まぁまぁ。カミュ、こいつ、氷河だぞ。」
「うむ。そんな気はした。」
師が自分に気づいてくれたことに、氷河はじぃんとする。
よく考えれば、この頃のカミュに、すでに自分は師事していたのだ。
あの頃はずいぶんとカミュが大人に見えた。いや大人以上だ。極寒のシベリアにおいて、師であり、庇護者であったカミュは、氷河にとって絶対的な存在だった。
しかし今目の前にいるカミュは、大人というよりは少年だ。
鍛えられてはいるが、体つきは記憶にあるよりもずいぶんと華奢にみえる。
 
ぼんやりとその姿を眺める氷河をよそに、カミュは人差し指を整った顎にあてながら、なにやら思案している。
「ミロ、修練場はあいているだろうか?」
「あはは、いいな。久しぶりにお前と手合わせしたいし、なによりも・・・。」
二人の視線は氷河に集中する。
 
「氷河、お前は強くなったのか?」
 
強くなった・・・と思う。
それは何よりも、目の前の二人の存在があったから。
「行こう!」
二人は氷河を促して走り出す。
氷河としても興味はある。
同じ年のカミュとミロに、自分の力がどこまで通用するのか。
 
 
と、そんな三人の前に、人影が立ちふさがった。
「サガ!?」
「目立つような真似は、控えろと言ったはずだ。氷河、お前まで一緒になって・・・。」
サガはため息をつくと、言葉を続けた。
「お前たちの気持ちも、わからないではない。だが修練場では、まだ訓練をしている者たちがいる。彼らに今のお前たちの姿を見せ、動揺させることは避けたい。」
まっすぐに自分を見つめる紅い瞳を、サガは正面から受け止めた。
どれだけ真摯に弟子を育ててきたのだろう。
その成長を確かめてみたいのだと、カミュは黙したまま訴える。
静かな、しかし燃えるような瞳。
そのまなざしを、ただ温かく迎え入れてやれた遠い日々のことを、サガは思った。
「カミュ、氷河はお前から最大の奥義まで引き継いだ。聖戦の功労者だ。」
その言葉に、カミュは目を見開いた。
ならば尚更、その力を試してみたい。

口から出かかった言葉を、カミュは飲み込んだ。
「ミロ、言いつけを破ったのだから、夕食の用意はしていない。3人で何とかして食べなさい。」
「はい!」
背を向けて歩き始めたサガに、ミロは満面の笑みで答えた。
「俺が何か作ります。カミュ、宝瓶宮のキッチンをお借りしてもいいですか?」
「うむ。」
カミュを真ん中に、三人は聖域の階段を上り始めた。
 
 
各宮を歩いて通りぬけねばならないという聖域のルールは、こういう時はいささか面倒だ。
階段を下りてゆくミロやカミュを既に見ていた者も少なくはなかったが、何度見ても飽きることはないらしくいちいち足止めをくらう。
「懐かしいですねぇ、このコンビ。」
「何だか自分まで昔に戻った気がするな。」
「少し楽しそうだな。」
「いっそこのままでいた方が、かわいげがあってよいのではないかね。」
一方のミロとカミュも、大人になった仲間達の姿を楽しそうに眺めている。
ミロなどはちゃっかりと、夕飯のおかずまでせしめている。
 
聖域は、女神が統治するまでずっと暗黒だったわけではないのだ。
そこには輝かしい幸福な時代があって、ここにいる誰しもの胸に焼き付いている。
それがどんなに大切なものであったか、改めて氷河は思い知らされた。
 
 
「人馬宮は不在か・・・。」
静まりかえったその宮を眺めながら、ミロが呟いた。
「でも、アイオロスは確かにここにいる。俺たちはどれだけ彼の魂に救われてきたかしれない。」
氷河がそう言うと、二人は息を飲んだ。
 
 
磨羯宮には、依然アフロディーテとデスマスクがいた。
アフロディーテは何やら料理をしていたらしく、身に着けているフリルのエプロンが妙に似合っている。
「パエリアを作ってみていたところなんだ。火加減が難しくてね。たくさん作ってしまったから、君たちもここで食べていくかい?」
「そんなら、俺、ここで食べてこうかな。」
ミロはそう言うと、椅子に腰を下ろした。
「そんじゃあ、またな。」
ミロはてのひらを、顔の前でひらひらと振った。
「しかし・・・」
カミュに会いたかったというミロの言葉を思い出して、氷河は躊躇する。
「腹が空きすぎて、もう階段を上がる気になれない。パエリアの誘惑にも勝てそうにない。」
いたずらっぽく輝く紫の瞳を、カミュが受け止めた。
「わかった。ではまた明日。」
「おう。」
明日には元に戻っている。
けれども明日は、きっと幸福な姿をして待っていると、確信する。
 
 
「いくぞ」とカミュは氷河の手を引いた。
その手をまだ、繋いだままでいる。
カミュにしてみれば、自分はまだ8歳の子供に思えるのかもしれない。
しかし14歳の氷河は、いささか気恥ずかしい。
宝瓶宮へと続く階段を上りながら、氷河はその手のぬくもりばかりを意識していた。
 
 
「お前の手料理を食べるなんてな。」
冷蔵庫を覗き込む氷河の後ろ姿を見守りながら、カミュはしみじみとそう言った。
「私が作った料理を、皿に盛るだけでもこぼしていた氷河がな。」
「う・・・、ありましたね。」
「熱いスープを指にかけてしまって、皿ごとひっくり返したんだ。」
「それで服にまでかけてしまって。」
「熱いと言って大泣きした。」
「そしたら、アイザックが」
自然と口をついて出たその名前が、氷河を凍りつかせる。
「アイザックが駆けてきて、じゃがいもの入った籠を蹴とばした。」
ぐしゃぐしゃになったキッチンで、3人はしばし途方に暮れ、それからしばらく笑い転げたのだった。
「私にとっては、つい先日の出来事だ。・・・・・・アイザックのことは、サガから聞いた。海界に行ったと。」
氷河は頭を振り上げて、カミュをみつめた。
すべてを打ち明けて、謝りたい衝動に駆られる。
しかしそれは、今のカミュを混乱させるだけだ。
 
「・・・ジャガイモも入れて、クリームソースのパスタにしましょうか。」
氷河は再び冷蔵庫に向き直ると、ベーコンを取り出し、その脇の棚からジャガイモと玉ねぎを取り出した。
「私より宝瓶宮に慣れているようだな。」
「今は・・・あなたが聖域にいらっしゃるから、俺もお邪魔する機会が増えたんです。」
「そう言えば、他の黄金聖闘士とも顔見知りのようだった。」
「ええ、いつもお世話になっています。」
「アフロディーテはこの服を、お前にやるつもりだと言っていた。」
シャツの胸元にあしらわれたフリルをつまみながら、カミュは不機嫌そうな顔した。
「ああ、その服は、そういうことだったんですか。聖域に来るたび、いつも服装のことを言われるんですが、本当に用意してくれていたんですね。」
 
聖戦の功労者だというサガの言葉は、あながち嘘ではないのだろう。
黄金聖闘士達は皆、氷河に一目置いているようだった。
泣き虫で、甘えん坊の氷河。
聖闘士になど、なれるはずもないと思っていたこの子が。
 
「ひとつ、聞いてもいいだろうか。」
「はい。」
「もしかしたらお前の心を傷つけるかもしれない。」
「なんでしょう?」
 
「・・・・・・母親には、会えたのか?」
 
カミュの言葉に、氷河の顔は歪んだ。
さっき、アイザックのことを話した時に、一瞬翳ったその顔が、突き刺されたように痛ましい表情を浮かべた。
 
「・・・・・・はい。」
頷いた氷河は、そのまま顔を上げることが出来なかった。
 
「そうか・・・。私がどう決断を下したのか、気になってな。」
 
それだけ言うと、カミュは背を向けた。

聖闘士とはどういうものなのか。
今の氷河ならわかる。
母親に会うために聖闘士になりたいと考えた、自分の過ちも。
その願いを頑なに胸に抱き続けてきた自分は、どれだけのものをこの人に負わせてきたのだろう。
いつも見上げている姿より、一回り小さなその背中を氷河は抱きしめた。
 
「ごめんなさい。俺は、先生が大切にしているものをたくさん奪った。カミュ、ごめんなさい。カミュ。」
 
カミュを腕ごと抱きしめて、氷河は子供のように泣きじゃくった。
まわされた腕に、カミュはそっとてのひらをあてた。
 
 
「・・・お前が、生きていてくれて嬉しい。いつかお前を、失うような気がしていたから。」
 
 
カミュは振り返ると、くしゃくしゃと顔にかかっている柔らかな髪を耳にかけた。
震えている左の瞼に、カミュの知らない傷跡が、うっすらと残っている。



 「お前が血を流して、勝ち取った未来。私にはそれが、夢のように思われる。優しくて、あたたかくて、甘い夢だ。しばらく、その夢に、溺れてもかまわないだろうか。」



追記を閉じる▲