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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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ちょっと前に録画したDVDを見ていたら、きしべ〇徳さんが言ったのです。
「60歳を越すと、大事にするものを大事にしてゆこうってのがでてくる」

え?60過ぎまで待たねばなりませんか?!

あー、でも、わかる気がする。
嫌だけど、なんかしみじみわかる。
男の人はそうかもしれない。
でもさ、いくつまで生きていられるかなんてわからないのに、60って!!

で、常々思っていたオメデタ妄想を文にしてみました。
ひかないで~。




拍手[20回]

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季節が巡ると、花だけは咲いた。
しかしそこに、あの人の姿はない。
どこに行ったら会えるのだろう、と氷河は思う。
シベリアにも、宝瓶宮にも、あるのはあの人が触れていた物だけ。
そしてここにも、あの人はいない。
氷河は膝をつくと、石に刻まれたその名に触れた。
聖戦を戦い抜くためだけに生きてきた。
その聖戦において、女神が勝利を収めた今、自分は自由なのかもしれない。
だとしたら、貴方のもとへ行きたい。
アイザックに詫びて、貴方に詫びて、そうして許されるなら、貴方のそばで眠りたい。
それだけが、本当の俺の願いだ。
きっと皆に叱られるだろう。
だけど、もう、許してもらえないか。
氷河は両の拳を握りしめた。
節が白くなる程強く。
 
 
いけない、氷河、とカミュは思った。
お前が生きることが、私の願いだ。
そんな風に拳を握りしめたら、傷ついてしまう。
私はいつもそばにいるから、ほら、手の力をぬいて。
カミュは氷河の背後から手を伸ばして、その手に触れた。
両の手をそれぞれ包み込むようにする。
 
・・・いつもより、やけに鮮明な。
 
実体を持たぬはずの自分の手が、氷河の手に触れる。
その熱が、伝わってくる。
 
 
氷河も、その、ぬくもりを感じた。
これはカミュだ。
カミュの小宇宙だ。
来てくれたんですね。
先生。
カミュの長い指が、氷河の指に絡む。
艶やかな髪が頬に触れている。
あたたかな鼓動・・・。
 
氷河は振り返った。
そこには確かにカミュが存在している。
 
「先生?!」
「氷河?!」
二人は目を合わせ、互いに驚きの声をあげた。
 
カミュは指をほどくと、氷河を向き直らせて正面から抱きしめた。
 
「これは、夢・・・?」
「そうかもしれない。」
「ああ、でも・・・。」
氷河の瞳から流れ落ちる涙を、カミュが唇でぬぐった。
 
「オレも、死んだのかな・・・。」
「そんなこと、させはしない。」
「でも、こうしてあなたのそばに。」
カミュは黙ったまま、氷河の首筋に顔を埋める。
温かい肌。
氷河の匂いがする。
氷河は指を、カミュの髪に差し入れた。
どこにも行ってしまわないようにと強く引き寄せる。
「どこでしょう、ここは。」
「どこでも構いはしない。お前といられれば、それでいい。」
柔らかな地面の上に、氷河を横たえる。
身体が熱く、脈打っている。
すべてを確かめるように、唇でたどる。
 
 
と、カミュの後頭部に何かが当たった。
「痛っ!!」
はじけて転がった小石が目に入り、カミュは振り返る。
「ミロ!!」
「お前、さっきから女神が呼んでいるのが聞こえんのか?!しかも、皆自宮で聖衣を纏って蘇ったというのに、何故お前ひとり、こんなところで、氷河といちゃついているんだ!!」
カミュは憮然とした表情で、ミロを睨み返す。
「私はいつだって、氷河とともにあった。」
 
「あの、あの、蘇ったって??」
はだけたシャツを直すことも忘れて、氷河が問いかける。
「ああ、これからそれを女神が説明してくださる。この馬鹿を、皆で待っていた。氷河、お前も来い。」
気の進まない思いでカミュは立ち上がった。
氷河も、シャツのボタンを留めるとそれに続く。
「あ・・・。」
わずかによろめいて顔を赤くする氷河を、カミュが抱きとめた。
 
肉体そのものを失い、新しく命を得た自分とは違って、氷河はまだ傷だらけだ。
身体のあちこちに包帯が巻かれており、右足も少し引きずるようにしている。
カミュは迷うことなく、氷河を抱き上げた。
「え、大丈夫です。自分で歩けます!!」
慌てる氷河を、とろけるようなまなざしで見つめる。
ミロはやれやれと額を押さえた。
その姿を見て、カミュはフンと笑った。
「女神が何とおっしゃるかはわからないが。今度ばかりは、愛のために生きさせてもらう。」
 
 


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「先生っ!」っていう氷河の声が、私の脳内で鮮明に聞こえるのは、水晶先生のおかげなんだと今朝気が付きました。
せんせい・・・いい響き。

で、ずっ~~と前に書いたカミュ先生の話をのっけてみます。
ほのぼの系?
鼻血なんてたらさない、普通の先生です。
それじゃ、カミュじゃない??
・・・そうかもしれない。

なんか普通の子供好きっぽくなったので、これまで眠っていたのでした。

登場人物は
カミュ、ムウ、貴鬼。

氷河が出てこない・・・。




拍手[13回]





「浮かぬ顔をしているな。」
教皇の間を訪れたムウが自宮へ戻る姿を目にして、珍しく宝瓶宮の主が声をかけた。
「いえ、たいしたことではないのですよ。」
そう言うとムウは藤色の瞳に静かな笑みをたたえた。
「サガから急用を頼まれたのですが、その間貴鬼をどうしようかと思いまして。いつもお世話になっているアルデバランは出かけていますし、星矢たちもいませんのでね。夜までには帰る予定なので、急いで食事の支度さえしておけば、特に問題はないのですが。」
「よければ私が預かろうか。」
いともあっさり提示された申し出に、ムウは思わず目をしばたたかせた。
そもそも貴鬼はカミュと面識があったろうか。
聖戦終了後、再び命を得て聖域を守護するようになってからは、貴鬼も聖域で過ごすことが多くなった。だからお互い顔くらいは知っているだろうが、いかんせん白羊宮と宝瓶宮は離れている。
あのおっちょこちょいでいたずらものの貴鬼が、クールを信条とする謹厳実直なこの男と、数時間とはいえ共に過ごせるのだろうか。
しかし、そうは言ってもカミュは氷河の師。
氷河がああまで慕うところを見れば、ただ厳しいだけの修行時代ではなかったのだろう。
数秒のうちにそれらに思いを巡らし、ムウはカミュの言葉に甘えることにした。
「貴鬼には書き取りの課題を出しておきます。あなたも忙しいでしょうから、一人でやらせておいてください。」
 
しばらくして、ムウからテレパシーで呼び出しを受けた貴鬼が、緊張した面持ちで白亜の階段を上ってきた。
「いいですね、貴鬼。カミュの言うことをよく聞くんですよ。」
貴鬼の両肩に手を置いて、じっと瞳をみつめながらそう言い聞かせると、ムウは階段を下りて行った。
「よ、よろしく。」
「うむ。」
 
初めて足を踏み入れる宝瓶宮は、貴鬼には少しひんやりと感じられた。
第一番目の宮である白羊宮は、入口に立てば外の世界を間近に見ることができる。それにすぐそばには聖衣を修復するための部屋があって、戦いの場としてだけではない、工房とでも言うような独特の雰囲気があった。
貴鬼にとってはなじみ深いその宮と較べると、宝瓶宮はあまりにも静かでさみしい感じがする。
その中を無言で歩いてゆく紅い髪の男を追いながら、思わず貴鬼はノートと筆箱を抱える腕に力を込めた。
 
「食事の支度をしてくるから、書き取りの課題をしていなさい。」
そういってカミュは台所に消えた。
テーブルについて貴鬼は、チャンスとばかりにノートを広げたまま、キョロキョロと部屋を見渡した。
テーブルとイス、書棚とソファがあるだけの簡素な部屋。
書棚には、古そうな分厚い本から新しい文庫本までぎっちりと並んでいたが、貴鬼の興味を引くようなものはなかった。
窓からも中庭の緑がわずかにのぞくだけ・・・。
「ちぇ、おとなしく勉強するしかないかぁ。」
貴鬼は筆入れからちびた鉛筆を取り出すと、行儀がいいとは言い難い姿勢ながらも、綴りの練習を始めた。
 
昼食は、トマト風味の煮込み料理だった。普段アジア系の食事に慣れている貴鬼にとっては、珍しいものだった。が、満腹になるとどうしたって眠くなる。
食事を終えて課題に取り組んではみたものの、やがて貴鬼はこくりこくりと頭をゆらし、ついには机に突っ伏して眠ってしまった。
 
どれくらい時間が経ったのだろう。
コトン、と目の前に何かが置かれる音がして、貴鬼は目を覚ました。
それは小さな木の箱で、開けてみると中には石筆が入っていた。
「机に向かっているのは性に合わないみたいだな。外でやるか。」
「外?」
返事のかわりにカミュは歩き出した。
貴鬼は石筆を持って慌てて後を追う。
部屋を出て、広間を通り、宮の外に出る。
宮から一歩踏み出すと、太陽の光が刺すように降り注いでいた。
それでも、階段の下から吹き上げてくる風が心地いい。
「書いてみろ。」
カミュは足元を指さして言った。
「え?書いていいの?」
「構わない。そのかわり、全部覚えたら掃除はしてもらう。」
貴鬼はおそるおそる石筆で文字を書いた。
「そう、綴りはあっている。ではその対義語は?」
貴鬼はしゃがんだまま、ぴょんと跳びはねて隣に大きく字を書いた。
 
ムウが職務を終えて聖域に戻ったのは、予定よりも早い午後6時だった。
(これならばカミュの手をわずらわせるまでもありませんでしたね)
そう思いながら、十一番目の宮にたどりついたムウが目にしたものは、あちこちに記された石筆の跡だった。
よく見るとでかでかと記された幼い筆跡に交じって、誤りを直したと思われる流麗な文字も見える。
「フ・・・。」
机に向かうのが苦手な貴鬼が、ちょこちょこと跳び回るようにして文字を記す様子を思い浮かべ、ムウは思わず笑みをこぼした。
と、「ムウ様ぁ~」
居住用の部屋のドアを開けて、元気よく飛び出してくる貴鬼の姿。
その後には、紅い髪の主。
「早かったのだな。」
「ええ、思っていたよりもスムーズに事が運びました。」
「ムウ様、おいら、言われていた綴りを全部覚えたよ。」
「そうですか。カミュに感謝しなくてはね。」
そう言ってムウは再び石筆の文字に目を向けた。
 
モップを持った貴鬼が張り切って掃除に行くのを見守りながら、カミュは紅茶を差し出した。
「それにしても、あなたは本当に、シベリアで生徒を育てていたのですねぇ。」
温かなカップを両手で包むようにしながら、ムウは率直にそう言った。
「当たり前だ。7年も聖域を離れて何をしていたと思っている。」
そう言って自分を見つめ返してくる顔は、自信に満ちた青年のものだった。
シオンに連れられて、カミュが初めて聖域に来たとき。
彼は笑わない子供だった。
笑いも泣きもしない、一切の感情を忘れてきてしまった子供―。
教皇暗殺とともに聖域を離れたムウにとっては、いまだにその印象が強く残っている。
だからカミュが弟子をとっていると人づてに聞いた時も、にわかには信じられなかったし、弟子である氷河を目にしても、彼と波長が合ったのだなというくらいにしか思っていなかった。
しかし実際には、そう簡単に聖闘士は育たない。
14歳という若さで人を育てる立場についたカミュの一端を、垣間見たような気がした。
「立派に聖闘士を育てましたものねぇ。」
ため息交じりにそう言うと、謙遜でも卑下でもなく、カミュが付け加えた。
「海将軍も一人育てたのだ。」
 
そうして白く長い指が、机上の小箱を手に取った。
「こんなものが、こんなところにまだ残っていた。」
箱を開くと、先ほど貴鬼が借りたと思われる石筆が数本入っていた。
「氷河に聖衣を授けたあと、シベリアから引きあげた荷物の中に入っていたのだな。それがまだ、この部屋に。」
止まっていた時間の重みを、ムウは思いやった。
「また、誰か育てたくなりましたか?」
ムウが藤色の瞳にいたずらっぽい光を覗かせると、カミュは頬杖をついたまま笑った。
「もう十分だ。あとはあの子が育てるだろう。」


 


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