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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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遅くなりましたが、おめでとう一輝!!

中々更新できない中、見に来てくださった方、すみませんでした。
15日、スルーしちゃったよう・・・。

もう限界だと睡眠時間を削って小話を書いてみた次第。
今日はしかし、地元夏祭りだ・・・。
なんか雑になっちゃいましたが、気持ちだけは・・・!!



拍手[12回]

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「ちょっと付き合え。」
ノックもなくドアを開けた男を、氷河は黙ったままじっと見つめた。
出かけるなら別に、俺でなくてもよいだろう。
立ったまま動こうとしない氷河を見て、一輝は鼻で笑った。
「まあそう、疑うな。今日は俺の誕生日だからな。」
「あ」
忘れていた。
自分の誕生日には、こいつからプレゼントを貰った。
シベリアまで押しかけてきて渡された箱の中には小さなオルゴールが入っていて、どこかさみしげなその曲のタイトルは「浜辺の歌」と記されていた。
その歌を女の声が歌うのを、覚えていると一輝は言った。
ポケットをさぐっても、それに見合うプレゼントなど出てこない。
気まずそうに目線を外す氷河を腕に抱き、一輝は場所を変えた。
テレポーテーション。
 
 
 
目を開けると、波の音がした。
碧い波が、光を湛えて押し寄せてくる。
 
どおりで奴はハーフパンツだ。
サンダルを脱ぎ捨てると、ずかずかと波の方へ歩いてゆく。
 
靴を脱いで、ズボンの裾をまくりあげる。
足の下で砂が動くのがわかった。
くすぐったい。
 
「あの島まで泳ぐ。」
 
Tシャツを脱いでサンダルの方に放り投げると、一輝は待たずに水の中へ入って行った。
泳ぎで俺が、負けるわけがない。
氷河は笑みを浮かべると、その後を追った。
 
水は親しげに肌を撫でてゆく。
一輝を追い抜いてからしばらくして、氷河は仰向けになって浮かんでみた。
 
空に、鳥が飛んでいる。
陽が射して。
雲が光って。
海が、自分の身を包んでいる。
目を閉じる。
身体が、ゆらゆらと波だけを受けて揺れている。
 
横に来た一輝が、わざとばしゃんと水をかけて泳いでゆく。
潮の味が、何故か甘いような不思議な感動をもたらした。
 
 
 
海辺に座って飽くことなく波を眺めていると、冷たい缶が頬にあたった。
「あ、すまない。」
気にする風でもなく、一輝は同じサイダーを立ったまま飲んだ。
 
「こんな海は知らなかった。」
 
「俺もだ。」

 
両手に包んだ缶の中で、しゅわしゅわと小さな泡がはじけていた。
 


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内職の締め切りが12日。
13日から15日が里帰り。
うう・・・、一輝誕・・・。

昨日は、ショッピングモールに出かけたのですが、ペットショップでじゃれあう仔犬すら一・氷に見えました。
がぶがぶ甘噛みしていてかわいかったです。

本当はもっとお誕生日らしい話をあげたかったのですが、多分間に合いそうにないので、子氷河と子一輝の話を・・・。

兄さん、誕生日らしい話が書けなくてごめんね~。


拍手[14回]




頬を流れている血を、そっと何かが拭った。
目を開くと、誰かが心配そうな顔で覗き込んでいる。
瞬?
違う。
この蒼い瞳は、他の誰でもない。
氷河だ。
 
「どうやって入ってきた?」
辰巳達に散々殴られた身体を起こそうとすると、途端に激痛が走った。
諦めて一輝は、身を床に横たえる。
氷河は小さなハンカチで頬の血を拭うと、血と汗で額に張り付いた一輝の髪をそっと取り除けた。
 
「今、夜だから、みんな寝てる。」
「そうか。」
 
瞬はもう、バスに乗って行ってしまった。
地獄だという、アンドロメダ島へ。
生まれてからずっとそばにあった、柔らかくて小さな存在が、奪われてしまったということが信じられない。
その喪失を埋めるように、蒼くて丸い瞳が一輝を覗き込んでいる。
 
「瞬は、大丈夫。強いから。」
「そう思うか?」
こくんと小さな頭が頷く。
「あんなに、泣き虫で、小さいのに?」
そういうと、氷河は小さく笑った。
「強い。」
 
「お前は、いつ行くんだ?」
「明日。」
「どこへ?」
「シベリア。」
 
それがどんな場所かなんて、一輝にはよくわからない。
ただ決意を秘めた瞳のみつめる先だけが、その場所の遠さを示しているようだった。
 
「俺、セイントになる。あいつのためじゃなくて、ママのために。」
「・・・・・・」
「あいつのためじゃない。」
 
氷河の手が、血の付いたハンカチをギュッと握りしめた。
 
「俺もだ。強くなって、もうあいつらの好きにはさせない。」
「うん。」
 
一輝のそばにいると不思議に安心する。
それは何故だろうと、氷河は一輝の黒い瞳をみつめた。
瞬のように守られたいとは思わない。
けれども瞬のように。
強い絆を持ちえたらと、少し思う。
一輝の知らない、俺たちの絆を、一輝が知ったならと。
 
「一輝・・・。」
 
「何だ?」
 
俺だってお前の・・・。
喉まで出かかった言葉を、氷河は飲み込んだ。
 
「・・・・なんでもない。・・・お前達と、会えてよかった。」
 
多分それだけが、日本での日々の救いだった。
 
「死ぬなよ。」
 
「うん。一輝も。」
 
遠く、足音が聞こえた。
早く行けと目だけで促すと、氷河は立ち上がった。
ドアの前で振り返る。
 
「さよなら。」
 
もう会えないなんて、いやだな。
そう思って一輝は言った。
 
「またな。」


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