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☆矢熱再燃。 ただただ氷河が好きだと叫びたい二次創作ブログです。 色気のある話はあまり書けないと思いますが、腐目線なのでご注意ください。 版権元とは一切関係ございません。
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仮タイトルはにょ。
もうすぐムスメが帰ってくるのでとりあえずタイトルなしで更新します。
一・氷です。
一輝受難系ギャグ???
自分でもなんでこんなの書いたんだろうと思うけれど、せっかく思いついたからと書いてみて、せっかく書いたからUPしてみます。
本当に色々心の広い方向けです~。


拍手[14回]

抱き寄せて唇を重ねても氷河は抗わなかった。思いのほか柔らかな感触に一輝は陶然とし、狭間から舌を差し入れる。ぎこちなくおののく氷河の舌を絡め取って吸い上げると、胸に置かれた白い手が、ぎゅっと一輝のシャツを握りしめた。
「抱きたい」
熱くなった身体を押し付けるようにしながら囁くと、アイスブルーの瞳はまっすぐに一輝の瞳を見つめ返した。
「わかった。・・・だが、その前に一つ、言っておかねばならないことがある」
プライドの高いこの男が、自分と関係を持つことを了承した。そのことに一輝は感動を覚えた。言っておかねばならぬこととは何なのか気にかかりつつも、氷河が自分を受け入れると覚悟を決めた以上、自分も氷河の言葉を真摯に受け止めるべきだと思った。腕の力を緩めると、氷河は乱れた前髪を掻き上げ、ほっと息を吐いた。
「今までお前達には黙っていたが、実は俺、女なんだ」
え? いま、なんて?
理解不能な言葉が両の耳を通り抜けてゆく。
「驚くのも無理はないな。仮面をつけずにいままで戦ってきたのだからな。わざわざ打ち明けるのもなんだと思ったが、さすがにいきなりでは驚くかと思ってな」
・・・十分いきなりすぎやしないだろうか。ポケットにチューブを忍ばせて、意を決してこの部屋を訪れた自分の覚悟は一体!? いや、それ以前にだ。男であり、血の繋がったお前と関係を持つことに、俺だってそれなりに葛藤を重ねてきたのだ。
貴様、この期に及んで俺をからかっているのか?・・・とはいえ氷河が、こんな場面で冗談をとばせるような人間ではないことは、一輝もよく知っている。
「女に興味はないか?」
少しさみしげな顔でそう言われて、一輝はぶんぶんと頭を振った。聖域でも、デスクイーン島でも、男ばかりの戦士たちの集団に身を置いていると、どこか感覚が普通と違ってくる。単純に性欲を処理するために男同士で関係を持つものもいれば、恋愛感情を抱くものもいる。そういうのは、一輝もごく当たり前のように目にしてきた。だが、自分自身が男と関係を持ちたいかと言われれば、答えはNOだ。だから氷河を欲しいと思ったとき、自分でも驚いた。状況に流されていないか、何か別の感情を勘違いしているのではないかと何度も考えた。だが、間違いない。単純に言えばこういうことだ。一輝は氷河が好きだ。だから例え男であっても、氷河を、自分のものにしたい。
なのにどうだ。ここにきて、氷河が、わけのわからないことを言っている。いや、これは喜ぶべきなのか・・・。氷河が女であれば、二人の間を阻んでいるかなり大きな壁が、ひとつ消えたことになる。
「もう少し、わかるように説明してくれ」
かろうじて言葉を口にすると、それもそうだというように氷河が頷いた。
「船の事故で亡くなった母を弔うために、俺が聖闘士を目指したことはお前も知っているな。だが、さすがの城戸光政も、娘まで戦地に送り込む気はなかった。そこで俺は男を装い、聖闘士になる道を選んだというわけさ」
腕を組んだ氷河は、フッと口の端にいつもの笑みを浮かべた。
「だが・・・」
と一輝は氷河の身体をみつめる。
その視線が胸のあたりで止まったことに、氷河は苦笑した。
「ま、そうだよな」
氷河は一輝に背を向けた。手の動きから、シャツのボタンをはずしているのがわかる。すべて外して前をはだけると、胸にきつく巻いていたさらしを、氷河はするすると解いていった。かなりの長さの白い布が、はらはらと床に落ちるのを一輝は呆然と眺めた。
「結構、大変なんだぞ」
再びボタンをしめなおした氷河が振り返る。恥ずかしげに腕を胸の前にあててはいるものの、二つの盛り上がりは隠しようもなくその存在を主張している。もともと、美しい顔立ちだから、そうしていても何の違和感もない。・・・だが。
「師匠は知っていたのか」
氷河はその人を想うように、途端に優しい顔を浮かべた。
「さすがにカミュには隠しきれなかった。だが何度も必死に頼んだんだ。俺の気持ちを理解してくれたカミュは、以来俺を男として扱ってくれた」
「・・・その、カミュと、お前の関係は・・・」
以前から何度も去来していた思いを、どうせだから聞いてしまおうと一輝は腹を括った。既に亡くなった男との関係を問いただすのはどうかと思う。しかし今もなお氷河の中に、その男が大きく存在していることも確かだった。
氷河は少し睨むように一輝を見ると、壁に凭れた。
「カミュとは何もない。・・・だが、キスはしたことがある」
それだけで、カミュという男の氷河への想いが知れた。氷河の、カミュへの想いも。
それでも。氷河は自分の申し出を拒まなかった。
「氷河という名前は?」
「それは、船の中で自分で考えた」
「別の名前があるのか?」
「ああ」
と氷河は小さく頷いた。
「アドリアーナ」
懐かしそうに、氷河がふんわりと笑った。
もう一人の少女の姿がそれに重なって、一輝は頭を振った。地獄の島でただ一人、自分を信じ続けてくれた少女、エスメラルダ。彼女の存在は、一輝にとって今もなお神聖なものだ。彼女に抱いた想い。それは間違いなく恋だったが、氷河に対して抱くのとは全く別のものだった。
なのにここで、アドリアーナとか言って、金色の髪で微笑まれると、何だか色々なことがごちゃごちゃになってくる。
ほんの少し前まで、こいつは氷河だった。俺と互角に戦った、キグナスの聖闘士。数々の戦いを共にくぐり抜けた・・・。
と、ここにきて、一輝は殺生谷を思い出す。
ええと、俺は拳を、こいつの左胸に・・・。
目を上げると、氷河の、滑らかな曲線が目に入った。


胸騒ぎを覚えて、瞬は階段を駆け上がった。
さっきはじけた小宇宙。
間違いなく、それは二人のものだ。
ガチャリとドアを開けると、ベッドに腰掛けている一輝の姿が目に入った。
目を見開いているが、何も見ていない。口も薄く開いたまま、表情は固まっている。
それなのに、すぐそばで床に座ってベッドに凭れている氷河は、くつろいだ様子で雑誌を眺め、ポテトチップスを頬張っている。
「ど、どういうこと・・・?」
瞬が訪ねると、氷河は顔をあげた。
「幻魔拳の改良版を思いついたんだそうだ。リアルに楽しい夢を体感できるんだと。俺に試させてやるというから、はねかえしてやった」
「で、でもこれ・・・」
「ああ、ちょっと失敗だったらしいな。ま、そのうち目を醒ますだろう」
そう言って氷河はもう一枚ポテトチップスを頬張ると、袋を瞬に差し出した。瞬は首を振ると、一輝に歩み寄った。
「兄さん、大丈夫???」
恐る恐る声をかけてみるものの、兄の反応はない。心配になった瞬は、両肩を掴んでぐらぐらと揺すぶった。
「しっかりして兄さんっ!!! ちょ、おでこから血が出てるよ!!」
瞬は腕をまわして、一回り大きな兄の身体を抱きかかえた。意外と逞しい弟の腕に抱かれて運ばれていった一輝が目を醒ますのは、翌日の朝になってのことだった。



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